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コネクテッド・エンタープライズでロックウェル・オートメーションが得た成果
コネクテッド・エンタープライズでロックウェル・オートメーションが得た成果
(撮影:安蔵靖志)
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 「約10年前に15の古い工場を取得してから整理統合を行い、現在は18工場を稼働している。この5年間で在庫期間を120日から82日まで削減し、設備投資も約30%削減した。機械やラインの寿命も延ばし、オンタイムの納品率が向上し、リードタイムも短縮できた。この5年間、毎年約5%の生産性の向上を実現してきた。当初は約3%だったが、デジタルトランスフォーメーションによって毎年プラス約2%の生産性向上を実現できるようになった」(バルトロメオ氏)

 大幅な生産性向上を実現したロックウェル・オートメーションだが、10年前はそうではなかった。各工場にはカスタム化されたアプリケーションばかりで統合システムはなかった。技術者の知識の多くはそれぞれに専門化されており、その技術者が退職すると知識を継承できないリスクがあった。

 「モデルの複製にコストがかかること、人材が製造以外から異動してくることによるスキルギャップなども問題だった。各工場は自律型の環境で損益も全く別々になっており、お互いに競争している状況だった」(バルトロメオ氏)

 2012年にアジアの製造ハブとしてシンガポール工場の稼働を開始した際も当初は、「複数のデータベースに情報が散在してつながっていない、人の手作業や視覚的な工場制御に頼っている、プロセスや品質管理は現場に依存している状況だった」(バルトロメオ氏)という。

改革前の2012年当時の状況
改革前の2012年当時の状況
複数のデータベースが林立して工場ごとにサイロ化し、各工場にプロセスと品質は現場に依存していた(撮影:安蔵靖志)
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 「現在コネクテッド・エンタープライズによってシンガポールのオペレーションをデジタル化した。従来はエクセルシートに手入力して管理していたが、リアルタイムのレポーティングに移行した。世界のどの工場でも、機械の稼働状況やオペレーションの状況などをオンラインで視角化できるようになった」(バルトロメオ氏)。

 現在はダウンタイムがどれくらいの頻度で、コストがどの程度かを素早く正確に分析し、修正策を即実行できるようにした。「リソース管理もWIP(作業中の情報)をデジタル化してオンライン化し、トラッキングできるようにした」(バルトロメオ氏)

コネクテッド・エンタープライズをグローバルの工場に展開する上で重要なのが「グローカルなオペレーション」だという。

 「グローバルなトレーニングを行ってキャリアパスを作り、北米からアジア、ヨーロッパに移行した。システムを一元化し、工場に入れば何が起きているのかがひと目で分かるようにした。知識の移行もトラブルシューティングもベストプラクティスも共通のアーキテクチャーで共通のプロセスでグローバルに動いているが、実装はローカルで行うということにした。プロセスについてもグローバルなプロセスを実現し、ツールもグローバルにした。標準化というのが成功のカギになると思う」(バルトロメオ氏)

 まずは社内で使って成功させた上で、工場に実際導入する。その上でパートナーと協力して外部に拡張していく。

会場は満員で約500人の来場者が議論を熱心に聞いていた
会場は満員で約500人の来場者が議論を熱心に聞いていた
(撮影:安蔵靖志)
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 「標準化したMES(製造実行管理システム)を世界中に展開し、一連のプロセスをグローバルで進めるが、実装はローカルで行う。そしてローカルな人材が一貫性を持ってパフォーマンスの向上に務めていく」(バルトロメオ氏)

 現在は全社的に情報の可視化が進み、リアルタイムデータや履歴データを使って短時間で正確な意思決定ができるようになったという。

 「現在はベストプラクティスを共有し、知識を持った人たちがそれを世界中で実行するという状況だ。ここまで約10年間、かなりの努力が必要だったが、世界中で競争力を発揮するためには大きな視点で考えるものの、スタートは小さく、そして短時間でスケールしていくことが重要だと考えている」(バルトロメオ氏)