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互換性重視型とコンパクト型の双方を用意

 5nm Herculesをテーマにした3社共同セッションに登壇したArmとSamsungの講演者は、Synopsys主催セッションとCadence主催セッションでは違っていたが、内容は概ね一緒だった。例えば、Samsungは5nmプロセス「5LPE」が、7nmプロセス「7LPP」の改良版であることを強調した。例えば、7LPPで初めて導入したEUV露光に5LPEでは慣れてきたことや、5LPEと7LPPでは同じスタンダードセル(高さ7.5トラックで、複数の拡散分離を含むMDB(Multiple Diffusion Break)構造)を使えることで、設計の互換性を維持できることを訴えた。

Samsungの製造プロセスロードマップ。同社のスライド
Samsungの製造プロセスロードマップ。同社のスライド
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 Samsungは、同じ7.5トラックでMDB構造のスタンダードセルを用意する一方で、5LPEではコンパクトタイプのスタンダードセルの最適化を図った。すなわち、高さが6トラックで拡散分離が少ないSDB(Single Diffusion Break)構造のスタンダードセルを用意した。7LPPでは高さが6.5トラックでMDB構造だった。この構造の変更や、ゲートコンタクトをアクティブ領域に近づけたこと(CB on RX Edge)などによって、回路ブロックの面積は30%削減できるとした。

 また、回路ブロックの消費電力が20%削減できるとのことだった。この消費電力削減は、拡散分離構造がMDBからSDBになったことや、最少フィン数が2から1になったことなどが寄与しているとした。

Samsungの5nmプロセス「5LPE」の特徴。同社のスライド
Samsungの5nmプロセス「5LPE」の特徴。同社のスライド
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 Armは、この記事の冒頭で紹介したHerculesの位置づけや、Samsungの5LPEに向けたフィジカルIP(スタンダードセルやメモリージェネレーター、GPIOなど、ブランド名はArm Artisan)、同プロセス向けのPOP IPが整備できていることを説明した。POP IPはCoretx-Aなどのプロセッサーコアを、特定のプロセスに最適に実装するためのデータ/情報パッケージで、フィジカルIP、EDAツールの制御情報などからなる。

Armのプロセッサーコア最適設計向けパッケージ「POP IP」の概要。同社のスライド
Armのプロセッサーコア最適設計向けパッケージ「POP IP」の概要。同社のスライド
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