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 「本当に軽い。初めて片手でボンネット(フロントフード)を持ちました」――。環境大臣の小泉進次郎氏は2019年10月24日、植物由来の新材料「セルロースナノファイバー(CNF)」を利用したコンセプト車「NCVコンセプトカー」を視察した。

100%CNF製フロントフードを持つ小泉大臣
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100%CNF製フロントフードを持つ小泉大臣
(写真:日経 xTECH)

 環境省は京都大学やアイシン精機やトヨタ紡織などと共に、CNFで自動車部品の軽量化を目指す「NCV(Nano Cellulose Vehicle;ナノセルロース自動車)プロジェクト」を進めている。その成果を「第46回 東京モーターショー2019」(一般公開:2019年10月25日~11月4日)で披露した。

「NCVコンセプトカー」
「NCVコンセプトカー」
(写真:日経 xTECH)
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 小泉大臣が視察に訪れたのは、東京モーターショーの「環境省地球環境局地球温暖化対策課」のブース。オールCNF製のフロントフードを手で持ち上げ、その軽さを実感して発したのが冒頭の言葉だ。

 驚くのが、トヨタ自動車の豊田章男社長も同ブースを訪れたことである。豊田社長は小泉大臣と共にコンセプト車を見るだけではなく、車内に乗り込んでシートに座って説明を聞いたりした。フォトセッションではコンセプト車のエンブレムを2人で指さし、小泉大臣が「トヨタの社長が自社以外のクルマのエンブレムを指さしている写真は初めてではないか」と言って報道陣の笑いを誘っていた。

エンブレムを指さすトヨタ自動車の豊田章男社長(左)と小泉大臣
エンブレムを指さすトヨタ自動車の豊田章男社長(左)と小泉大臣
(写真:日経 xTECH)
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CNF製フロントフードを持って軽さに驚く豊田社長
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CNF製フロントフードを持って軽さに驚く豊田社長
(写真:日経 xTECH)

 コンセプト車について、プロジェクトリーダーを務める京都大学生存圏研究所生物機能材料分野の臼杵有光特任教授は「完成車を生み出した意義は大きい。自動車メーカーにCNFがどのような性質の材料なのかを伝えやすくなる」と話す。また、プロジェクトで中心的な役割を担う京都大学生存圏研究所生物機能材料分野の矢野浩之教授は「植物由来の材料であるCNFが(現在の)石油依存の社会から転換するきっかけになってほしい」と述べた。

左から環境省の小泉進次郎大臣、京都大学生存圏研究所生物機能材料分野の臼杵有光特任教授、京都大学生存圏研究所生物機能材料分野の矢野浩之教授
左から環境省の小泉進次郎大臣、京都大学生存圏研究所生物機能材料分野の臼杵有光特任教授、京都大学生存圏研究所生物機能材料分野の矢野浩之教授
(写真:日経 xTECH)
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 CNFは、木材などの植物繊維を化学的・機械的な処理によってほぐした、直径が数~数十nmの繊維だ。このCNFを樹脂に混ぜて成形すると、軽量で高強度なCNF強化樹脂が出来る。同プロジェクトにおいては、CNFをポリプロピレン(PP)やポリアミド(PA)6、ポリカーボネート(PC)などに混ぜて自動車部品を軽量化し、自動車全体で質量を10%ほど軽くした。

真横から撮影した「NCVコンセプトカー」
真横から撮影した「NCVコンセプトカー」
(写真:日経 xTECH)
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