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三菱電機 名古屋製作所での省エネ事例
三菱電機 名古屋製作所での省エネ事例
生産設備の効率運用と生産システムとの連携による改善と、省エネルギー運用における改善の結果。「従来は定格運転が続いていたのに比べ、きめ細かく制御することで省エネを実現した」(都築氏)(出所:三菱電機)
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 都築氏は製造フェーズの活用事例として三菱電機 名古屋製作所の消費エネルギー削減の例を紹介した。生産設備の稼働システムと建屋の空調排気システムを連携し、稼働時間や環境状態に応じた空調・排気の制御を行うことで、消費エネルギーの削減に成功したという。

 「センサーや制御機器をインターネットとつなぎ、見える化したデータを分析して結果を制御に戻すというサイクルをしっかりと構築した。データを活用すると効果や課題が一目で分かり、ソフトウエアツールの活用が容易になる。PDCAサイクルをデータやツールを活用して高速に回せるのがポイントだ」。

 続いて保守/メンテナンスフェーズについて紹介した。三菱電機は「24時間止まらない設備・工場」と「停止した場合の速やかな復旧」という2つの目的の下にトータル保全ソリューションを提案している。それを実現するための方法として、「予知保全」、「予防保全」、「事後保全」の3つのタイプがあると都築氏は語る。

三菱電機が提供するトータル保全ソリューション
三菱電機が提供するトータル保全ソリューション
予知保全と予防保全、事後保全のそれぞれにソリューションを用意する。事後保全については「システムレコーダ」を近日発売するという(出所:三菱電機)
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 予知保全と予防保全は予期せぬライン停止や設備停止を未然に防ぐもので、事後保全は停止後に速やかに復旧する保全に当たる。予知保全は従来の予防保全のように単純な時間や回数で消耗部品を交換するのではなく、振動などのデータから機械学習で劣化状態を予想する。「予知保全はより複雑な状態や事象、相関関係などを扱うことができる。データ活用が進む昨今では、保全の主流は工場の停止をいかに未然に防止するかに移っている」(都築氏)。

 事後保全については、近日発売予定の「システムレコーダ」を紹介した。シーケンサーの中の全デバイスに加えて全ラベル、サーボの全軸の位置情報、カメラ画像もマイクロ秒レベルの精度の高いタイムスタンプ付きデータとして自動保存できるソリューションだという。都築氏は「これはTSN(Time-Sensitive Networking)という技術があるからこそできる」と胸を張る。

人手不足への対応と熟練技術の継承はロボットやAIが担う

 都築氏は続いて、DXのさらなる高度化に向けて実現が期待される、先端技術を利用した新たな取り組みについて紹介した。日本の少子高齢化、労働人口の減少は確実に進んでおり、人手不足への対応と熟練技術の継承は大きな課題になっている。そこで「これからはロボットやAIが生産現場でますます身近な存在になる」と都築氏は語る。

 人と一緒に安全に作業できる協働ロボットを活用する事例として都築氏は、素早く避ける技術を用いた新たな産業用ロボットシステムを紹介した。ビジョンセンサーとAIを用いて整列していない部品を確実にピッキングする技術、センシングによって人の手への衝突を回避する技術、力学センサーとAIによってピックアップしたものを高精度に据え付ける技術を組み合わせる。

人の手を自動的に避けてピッキングする技術
人の手を自動的に避けてピッキングする技術
都築氏は「従来は避ける動作もすべてプログラミングしなくてはならなかったが、これは3Dモデルを活用して経路を自動的に生成するもので、立ち上げ時間を大幅に短縮できる画期的な技術だ」と話す(出所:三菱電機)
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 この技術は三菱電機独自のAI「Maisart(Mitsubishi Electric's AI creates the State-of-the-ART in technology)」を使う。「特徴はニューラルネットワーク自体をコンパクトにできることで、これにより高性能なマイクロプロセッサを持たない組み込み機器にもAIを導入できる」(都築氏)。