全1705文字

 川崎重工業がティーチング(教示)なしで使えるロボットシステムの開発に本腰を入れ始めた。作業者の負担を軽減したり、熟練技能者の動きをロボットで代替したりすることが狙いだ。

 具体的には、研削ロボットシステム「Successor-G」の販売を2020年4月から始める。火花が飛び散る環境に身を置く必要がなくなるため、作業者は心身両面の負担を減らせる。橋りょうなどの構造物の研削や、鋳物部品のバリ取りなどに使えるという。「2019国際ロボット展」(2019年12月18日~21日、東京ビッグサイト)で展示した。

研削ロボットシステム「Successor-G」
研削ロボットシステム「Successor-G」
作業者は別の部屋に居ながら研削作業を進められる。(写真:日経 xTECH)
[画像のクリックで拡大表示]

 研削やバリ取りといった作業は、保護具を着用した上で重いグラインダーを扱う必要がある。「現場は火花や粉じんが発生するため、空調を導入しにくい」(同社の説明員)。作業者にとっては重労働だ。そこで、新しい研削ロボットシステムは同社の産業用ロボット「BX100N」の先端にグラインダーを取り付け、遠隔操作できるようにした。作業者はカメラの映像を見ながら、操作ハンドルを使ってロボットを動かす。

 ロボットの先端には、グラインダーの他に力覚センサーが付いている。これにより、グラインダーがワークに接触したときの感覚を操作ハンドルに伝えることができる。そのため、例えばグラインダーを下方向に動かしてワークに接触すると、操作ハンドルはそれ以上、下方向に動かせなくなる。従って、誤ってグラインダーをワークに強く押し当てようとした場合でも、ワークの破損を防げる。同社は会場に、来場者が新しい研削ロボットシステムによる研削を体験できるブースを用意していた。

Successor-Gの操作ハンドル
Successor-Gの操作ハンドル
グラインダーが加工対象に接触すると、その感覚を操作ハンドルを介して作業者の手に伝えてくれる。(写真:日経 xTECH)
[画像のクリックで拡大表示]

 新しい研削ロボットシステムは、生産量が少ない「一品物」の研削を対象とする。一般に、ロボットを動かすにはティーチングによって動作経路をあらかじめ設定する必要がある。しかし、ワークの形状が変わるたびにティーチングし直す必要がある。同じ形のワークであっても、微妙に寸法が異なる場合はやはりティーチングし直さなければならず、作業者の負担が大きい。

 こうした背景から、川崎重工業は遠隔操作と力覚センサーを組み合わせた新たな研削ロボットシステムを開発した。これらが直感的な操作を助けることで、ティーチングレスで作業できる。今後は、熟練技能者の動きをまねして繰り返すトレース機能や、画像処理による仕上げ状況の自動判定機能も取り入れるという。

この記事は有料会員限定です

日経クロステック有料会員になると…

専門雑誌8誌の記事が読み放題
注目テーマのデジタルムックが読める
雑誌PDFを月100pダウンロード

有料会員と登録会員の違い