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 2019年12月18~21日にかけて開催された国際ロボット展(東京ビッグサイト)において、19日に「ロボット革命・産業IoT国際シンポジウム2019」が開かれた。同カンファレンスの第1部「グローバルコミュニティにおける将来ビジョン」に登壇したドイツ工学アカデミー(acatech)理事会議長であるヘニング・カガーマン(Henning Kagermann)氏の講演「人間と機械のコラボレーションの新しいパラダイム」の内容を紹介する。

ドイツ工学アカデミー理事会議長のヘニング・カガーマン氏
ドイツ工学アカデミー理事会議長のヘニング・カガーマン氏
(撮影:稲垣宗彦)
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 ここ数年、人工知能(AI)やロボティクス、深層学習(ディープラーニング)といった技術が話題になることが増えた。これらの技術が雇用を奪ったり、あるいはソーシャルデバイド、社会的な分断を起こしたりはしないのかといった議論も起こっている。こうした「人と機械の関係性」についてカガーマン氏は、「前向きな部分について話したい」とスピーチを始めた。

インダストリー4.0の及ぼした影響が各所に波及

 2011年にドイツで「インダストリー4.0」が発表され、それに準じた動きが各所で生まれたが、その中でどのように人が学び、人が働いていくか、特に人と機械がどのように関連していくかが大きな注目を集めたという。ドイツでは、人と機械の新しい関係性を考え、ビジネスプロセスや職場をリエンジニアリングし、大きく変えていくことが視野に入ってきているという。

 一方、日本は、2016年に「ソサエティー5.0」を発案。技術革新という新たな動きに社会的な視点を持って取り組もうとしている。ここでもまた、機械やAIを活用し、社会的な問題をどう解決するかという、ドイツと同様の議論がある。

 つまり、日本とドイツには双方共通の課題があるわけだ。この点についてカガーマン氏は「協力して取り組んでいくべきだ」と語った。

 もちろん、日独が抱える課題には共通点もあるが、当然違いもある。しかし、重要なのは個々の違いではなく、何を実現しようとしているかという点だ。最終的に目指すのはグローバルに製造業をつないでいくということ。「各国が閉じた形では大きな変革にはならない」と同氏は訴えた。

インダストリー4.0のパラダイムシフト
インダストリー4.0のパラダイムシフト
インダストリー4.0は、プロダクト、オペレーター、機械といったものづくりのあらゆる段階を“スマート化”し、大きく変えていく。(撮影:稲垣宗彦)
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人と機械のインタラクションがより重要に

 ここでカガーマン氏は、インダストリー4.0に向けてドイツが歩んできた経緯について触れた。

 発想の端緒はデジタルな技術を活用して製造のプロセスを刷新していこうという「スマートファクトリー」という考え方だったという。次に、それを発展させ、どのようなビジネスモデルとエコシステムの中で収益を上げるかを考えた。その中でルネサンスともいえる「プラットフォームエコノミー」といったトレンドが登場。さらにデータが全ての原動力になるという、「データドリブン」のコンセプトが生まれ、「ものを売る」だけにとどまらず「サービスを売る」という考え方が顕著になってきた。

 これら一連のプロセスで明確になってきたのは、ロボットや機械を自律的に運用するためのAIなどの新たな技術の有用性だ。それらの技術は製造業にとどまらず、さまざまな方面で活用され始めている。

 ポイントは、スマートホームや自動運転車など、新たな技術を国民一人ひとりの日常生活の中で活用できる道筋をいかにつくるかにある。それは「全ての人と機械のインタラクション(相互作用)、やり取りに関わってくる」と言う。

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