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 自動車メーカーの採用を勝ち取る戦いが激しさを増してきた3次元LIDAR(レーザーレーダー)。メガサプライヤーとスタートアップが生き残りをかけて新製品を投入する。各社が火花を散らす中、後発のソニーはLIDAR市場の“裏方”として勝負する戦略を固めた。

 「既に10万台以上を出荷済みだ」――。LIDARの量産実績をアピールするのは、フランス・ヴァレオ(Valeo)でCOO(最高執行責任者)を務めるクリストフ・ペリヤ(Christophe Perillat)氏である。同社はLIDARの第一世代品「SCALA」の量産を2017年に開始し、ドイツ・アウディ(Audi)の高級セダン「A8」「A7」に採用されている。

 LIDAR市場で先頭を走るValeoは、2020年1月に開催された展示会「CES 2020」でLIDARの製品ラインアップを拡充する方針を発表。ドイツ・BMWからの受注を獲得したイスラエルのイノビズ・テクノロジーズ(Innoviz Technologies)をはじめとするLIDAR専業のスタートアップをけん制してみせた(図1~4)。

図1 InnovizのLIDAR
図1 InnovizのLIDAR
BMWに採用されたもの。寸法は45×110×95mmで、質量は515g。(撮影:日経Automotive)
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図2 米ルミナー・テクノロジーズ(Luminar Technologies)
図2 米ルミナー・テクノロジーズ(Luminar Technologies)
CES 2020でのブースの様子。トヨタ自動車やスウェーデン・ボルボ(Vovlo)などの自動運転の試験車両にLIDARを提供している。(撮影:日経Automotive)
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図3 米クアナジー・システムズ(Quanergy Systems)のCES 2020での展示
図3 米クアナジー・システムズ(Quanergy Systems)のCES 2020での展示
既にLIDARを量産している。(撮影:日経Automotive)
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図4 米セプトン・テクノロジーズ(Cepton Technologies)のCES 2020でのブース
図4 米セプトン・テクノロジーズ(Cepton Technologies)のCES 2020でのブース
同社のLIDARを搭載する米メイ・モビリティー(May Mobility)の低速無人シャトル。(撮影:日経Automotive)
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 Valeoは、3種類のLIDARを追加する(図5)。2020年上半期に量産を開始する第2世代品の「SCALA2」は、仰角(垂直方向の角度)を従来の3.2度から10度と3倍以上に高めた。

図5 Valeoは4種類のLIDARをラインアップへ
図5 Valeoは4種類のLIDARをラインアップへ
CES 2020で開いた記者会見で計画を明かした。(出所:Valeo、撮影:日経Automotive)
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 第3世代の「SCALA3」は解像度をこれまでよりも高める計画で、「2020年内にサンプル出荷を開始する予定」(Perillat氏)だ。SCALAシリーズは前方監視用だが、これらとは別に近距離監視用のLIDARも用意する。Valeoは「NEAR FIELD LIDAR」と呼ぶ品種を、SCALA3と同じく2020年内にサンプル出荷するという。

 Valeoを追いかけるのが、ドイツのメガサプライヤーやデンソーなどだ。いずれも車載向けのカメラとミリ波レーダーを量産済み。LIDARを追加して自動運転向けセンサーの「三種の神器」をセットで供給できる体制を構築し、スタートアップとの差異化を図る。