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 デジタル変革に向けたソリューションを体感できる総合イベント「東京デジタルイノベーション 2020」(主催:日経BP)が2020年2月18日、ザ・プリンスパークタワー東京で開幕した。基調講演には星野リゾートの久本英司情報システムグループグループディレクターが登壇。「星野リゾートのアプリケーション開発力を強化させるクラウド活用」と題して、同社のIT活用の取り組みを紹介した。

星野リゾートの久本英司情報システムグループグループディレクター
星野リゾートの久本英司情報システムグループグループディレクター
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 「コモディティー化している競争環境の中でまねされにくい独自の姿を確立し、それを維持する」。講演の冒頭で久本グループディレクターは星野リゾートの事業戦略を示し、それに沿う形でIT戦略を推進していると説明した。

 戦略実現のために実践すべき項目の1つが「生産性のフロンティアを達成する」である。情報システムについては従来の「堅牢(けんろう)性と俊敏性を兼ね備える」に「変化に素早く対応する」という要求が加わり、「生産性のフロンティア達成のハードルが上がってきた」(久本グループディレクター)。

 変化対応へのスピードを上げるために2015年から取り組んだのが「DevOps」の実践だ。AWS(Amazon Web Services)にシステムを移行したり、マイクロサービス化に挑戦したりと環境改善から着手。しかし「少しずつモダンな構成になっていったが相変わらず改善スピードは遅かった」(同)。

 原因は開発を社外の要員に頼らざるを得ない体制にあった。2015年当時、同社IT部門のメンバーは4人のみ。そこで2018年、エンジニアを初めて採用して内製化に舵(かじ)を切った。現在、IT部門のメンバーは30人を数え、システムの改善や運用、インフラ構築、開業などの作業を担っている。「スクラム開発を通じて日々改善を行い、毎週アプリをリリースしている。改善作業が情報システム関連費用の22パーセントを占めるようになった」(同)という。

「全従業員IT人材化」に挑む

 IT活用で同社が掲げる目標の1つが「全従業員IT人材化」である。背景にはイノベーションに関する同社の星野佳路代表の考えがある。具体的には「イノベーションは、客に近いスタッフが日々の地道な作業に熟練したうえで、固定観念にとらわれず発想し、変化を恐れず挑戦する活動から生まれる」というものだ。

 その実践例として久本グループディレクターが紹介したのが、サイボウズのクラウドサービス「Kintone」の活用だ。「基幹システムの部品として採用したが、最近では業務部門だけで完結するアプリ開発が増えてきた」(同)。

 最後に、IT活用で大切な取り組みとして久本が指摘したのがグループディレクター経営層の巻き込みである。「ITは現場も使うしリスクもあるので、IT部門だけで考えるものではない。どんなITを選ぶかは重要な経営判断である」と結んだ。