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 「ISSCC 2020(International Solid-State Circuits Conference 2020)」(2⽉16〜20⽇に⽶国サンフランシスコで開催)の無線通信向けの回路技術は、セッション4、10、30で議論された。それらは、(1)5Gに代表されるセルラー通信やGビット/秒のデータレートを実現するWi-Fiといったハイエンド技術、および(2)低電力低コストのIoT系技術の2つに分けることができる。

 (1)のハイエンド技術としては、例えば、台湾MediaTekが12nm FinFET CMOSプロセスで製造する4G/5G向けトランシーバーを発表した(講演番号 10.3)。サブ6GHzと呼ばれる周波数帯で、200MHzまでの帯域幅をカバーする。2Gから5Gまでの規格に対応できる集積度の高いトランシーバーICである。さらに、LO位相同期技術によりUL MIMOに初めて対応した。

ハイエンド無線通信の技術トレンド
ハイエンド無線通信の技術トレンド
出典:ISSCC 2020東京記者会見
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 MediaTechはIEEE 802.11ax向けの技術も発表した(講演番号 10.4)。PA線形化により+20dBmという実用的な出力電力で160MHz帯域の1024値QAM通信を実現した。実用的なユースケースにおいて動作を確認しており、この技術も完成度が高い。無線通信規格はデータレートの増加に伴ってバンド幅の拡大と同時に変調方式も複雑化しており、これを牽引するプレーヤーが変わりつつあることを示している。

 米Intelも802.11ax向けトランスミッターを発表した(講演番号 10.5)。新規プリディストーション技術により送信回路の線形性を向上させた。出力電力19dBmで160MHz帯域の1024値QAM通信を実現し、PAの効率を21.2%に改善した。

 ミリ波通信では、韓国Samsung Electronicsが39GHz帯に対応したトランシーバーICを初めて論文発表した(講演番号 4.1)。RFフロントエンドとIF帯の2チップ構成である。+6dBm出力で800MHz帯域の64値QAM通信を実現した。28GHz帯の発表が続いたこれまでの世代の技術から一歩進んでおり、ミリ波移動通信が益々本格化する様相を見せている。

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