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 韓国サムスン電子(Samsung Electronics)が、自動車用の信頼性規格AEC-Q100 Grade 1と機能安全規格ISO26262 ASIL-Bに適合するPUF (Physically Unclonable Function)を、「ISSCC 2020(International Solid-State Circuits Conference 2020)」(2⽉16〜20⽇に⽶国サンフランシスコで開催)のIoT & Securityのセッションで発表した(講演番号27.4)。製造技術は28nm FDSOIである。

 PUFとは、不純物ゆらぎなどによる素子のランダムなばらつきを利用してチップ固有の乱数を生成するもので、これを利用すると極めて安全に暗号キーを生成できることから、情報セキュリティーにおける信頼の原点(Root of Trust)として期待が高まっている。ただし、乱数の基になる信号が微小なばらつきであるため、雑音や温度・電源電圧変化によって値が反転し、ビットエラーが起きてしまう泣き所がある。このためECCでエラー訂正するが、従来は10%以上のビットエラーを訂正するために、追加のPUFビット数が本来必要なキービット数の10倍に増えたり、ECC回路の消費エネルギーや処理時間が大きくなると言った課題があった。

 これまでISSCCや他の回路学会では、ECCの負担を軽減すべくビットエラー率低減とそれを低コスト、低エネルギーで実現した成果が発表されてきた。今回の発表はその流れとは違って、製品適用の観点から自動車用の国際規格に適合することを主張する。ISSCCでは、機能安全規格適合のSoCやマイクロコントローラーが発表されているが、この波がPUFにも訪れた。

 信頼性規格AEC-Q100 Grade 1をクリアするには、2つのハードルがある。(1)周囲温度Ta -40~+125℃で動作、(2)実使用15年相当のエージング後も動作、である。ここで、動作とはPUFから生成するキーのエラー率(キーエラー率)が充分低いことであり、今回の講演者らは256ビットキーのキーエラー率2.11E-15を目標に設定した。これは、毎秒1回キーを生成しても15年間のエラー発生が1ppm未満に相当するという。