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 「ISSCC 2020(International Solid-State Circuits Conference 2020)」(2月16~20日に米国サンフランシスコで開催)では、電源回路技術に関するセッションは3つあり、21件の論文発表があった。ISSCC全体の中で電源回路技術は注目度が高かったといえる。今年の特徴は、小型化を推進する新技術が盛んに発表されたことである(図1)。特に目を引いたのが、独ハノーバー(Hannover)大学が発表した「GaN モノリシックAC-DCコンバーター技術」〔講演番号 18.2、論文は独・米テキサス・インスツルメント(Texas Instruments)と共著〕と、東芝が発表した「35MHz広帯域の絶縁アンプ技術」(講演番号 18.7)である。

図1 ISSCC 2020における注目すべき電源回路技術の例
図1 ISSCC 2020における注目すべき電源回路技術の例
出典:ISSCC 2020東京記者会見
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 Hannover大学が発表した、GaN モノリシックAC-DCコンバーター技術の概要は以下の通りである。GaNパワースイッチはゲート容量が小さく、かつボディーダイオードがないために低損失特性であり、スイッチング電源の高効率化および小型化の実現に向けて大いに期待されている。しかし、GaNプロセスではP型スイッチとpn接合ダイオードが存在しないため、CMOSプロセスのようなパワースイッチと制御回路が混載のモノリシック電源ICが実現できないとされてきた。パワースイッチと制御回路を別々のチップに分けると、パワースイッチのゲート側に寄生インダクタンスが増えるため、スイッチング時に過渡電圧のサージやリンギングが生じやすくなり、過電圧破壊や電磁妨害(EMI)の課題が発生する。

 今回、Hannover大学らはE-Mode(Enhanced型)GaNプロセスを用いて、図2に示した照明向けの15W・400VモノリシックAC-DCコンバーターICを実現した。図3に示したように、その変換効率は95.6%に達しており、過去最高の性能とのことだった。今回、モノリシックの設計技術を確立できたため、今後スイッチング周波数をどんどんと上げ、インダクターの体積を縮小するトレンドを加速すると思われる。

図2 今回のGaN AC-DCコンバーターのチップ
図2 今回のGaN AC-DCコンバーターのチップ
出典:独Hannover大学と独・米Texas Instruments
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図3 今回のGaN AC-DCコンバーターの特性(右上)と過去の研究結果を比較
図3 今回のGaN AC-DCコンバーターの特性(右上)と過去の研究結果を比較
出典:独Hannover大学と独・米Texas Instruments
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