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 アスリートのみならず、夏季に屋外で作業する建設・土木業、高温環境で作業する製造業の従事者などにとって、脱水症は時に命の危険をもたらす病気である。これを防ぐにはこまめな水分補給が必要だが、その必要度合いを正確に知るには唾液を採取して専門機関に送るなど、現状では手間とコストがかかる。

 オーストラリアのMX3 Diagnostics(以下、MX3)は、その状況を劇的に変えるシステム「MX3 LAB」を「MIT Sloan Sports Analytics Conference(SSAC)2020」に出展した。唾液のサンプルを専門機関に送ることなく、その場でリアルタイムに水分補給の必要性を判定する。機械学習を活用することで精度は94%と高い。アスリートのパフォーマンスの低下やケガの予防、作業者の脱水症の予防などに使えるという。「その場でリアルタイムに計測できる世界初のシステム」(MX3)としている。

 システムは計測デバイスと試験片、スマートフォン(スマホ)のアプリケーションソフトウエア(アプリ)で構成される。使い方は簡単だ。アプリを起動し、試験片をデバイスに差し込む。続いて、唾液をためて舌を出し、試験片を接触させるとすぐにアプリに数値が表示される。デバイスとアプリはBluetoothで無線接続する。アプリには計測の履歴を参照できる機能などがある。

MX3 LABで計測している様子
MX3 LABで計測している様子
新鮮な唾液をためて舌を突き出し、デバイスに差した試験片を当てるだけ(写真:日経クロステック)
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 MX3 LABが計測するのは、水分補給の必要性を最も正確に示すといわれる唾液の浸透圧だ。一般に65mOsm(浸透圧の単位)未満が適正で、100mOsmを超えると水分補給が推奨され、150mOsm以上ではすぐに水分補給しないと危険な状況だという。ちなみに記者が試したところ、71mOsmだった。

記者も試してみた
記者も試してみた
結果はスマホのアプリに表示される他、デバイスのディスプレーにも表示される。71ミリOsmだったのでほぼ適正だが、その後すぐに水分を補給した(写真:日経クロステック)
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 2020年1月下旬に発売済みで、既にスウェーデンのサッカー協会や米メジャーリーグのチーム、ラグビーのニュージーランドやオーストラリアの代表チーム、世界最大の鉱業会社であるオーストラリアのBHPなどが購入済みという。価格はデバイスが799米ドル(約8万1500円、1米ドル=102円)で、試験片が1個50セント(約51円)である。