オンライン開催されているゲーム開発者会議「コンピュータエンターテインメントデベロッパーズカンファレンス2020」(CEDEC2020)で2020年9月4日、「JANOG×CEDECコラボセッション」と銘打ち、インターネットとゲームトラフィックに関するセッションが開催された。
登壇したのは、NTTリミテッド・ジャパンCloud Services SDN Tech Leadの川上雄也氏、コナミデジタルエンタテインメント技術開発部スタッフの佐藤元彦氏、コミュニティネットワークセンター技術本部PeeringManagerの大日方周太氏、日本インターネットエクスチェンジ(JPIX)の中川あきら氏の4人。川上氏はJANOG(ジャノグ)運営委員としての立場から講演を行った。JANOGとは、JApan Network Operators' Groupの略で、日本のネットワーク運用者が集まる非営利の技術コミュニティーである。
同セッションでは、大容量ゲーム配信がインターネットに与える影響と、ゲームに関するIPv4(Internet Protocol version 4)/IPv6(同version 6)の動向という2つのテーマに関して講演が行われた。ここでは、エンドユーザーに対する影響が大きい大容量ゲーム配信についての内容をリポートする。
アップデートによる“とがった”トラフィックが問題に
まず川上氏は、JANOGの中で最近議論になっていることを4つ挙げた。そのうちの2つが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19、以下新型コロナ)で変化したネットワークトラフィックの動向と、大き過ぎるゲーム配信トラフィックの影響である。
続いて登壇した大日向氏が、いくつかのデータを示しながら大容量ゲーム配信がインターネットに与える影響について述べた。大日向氏が勤務するコミュニティネットワークセンター(CNCI)は、東海地方のCATV局11社のグループ会社を中心にネットワーク事業などを提供する企業である。各CATV局が提供するCATVインターネットサービスをまとめて、回線を上位のインターネットに接続している。
新型コロナによる影響で最も顕著なのは、従来とまったく異なる日中のトラフィックパターンだと大日向氏はいう。多くの人が自宅にいて、テレワークをしたり、ネット動画を見たりしているためだと推察される。一方で、午後10時前後のインターネットのピーク時間帯においては、トラフィックの増加傾向は例年とそれほど変わっていない。このため、緊急に回線増強などが必要になるほどの問題には至っていない。
しかし、時々出現するスパイク(とがった)トラフィックは問題になっているという。このスパイクトラフィックの正体は、ゲームのアップデート配信。最近では、8月にリリースされた米エレクトロニック・アーツ「Apex Legends シーズン6」や、頻繁にアップデートを実施している米Epic Games「フォートナイト」が原因でスパイクトラフィックが出現している。