登室長によると、「一般的に組織では『ゼロリスク』が大事というが、これはいつか破綻する」という。リスクを取らない保守的な組織では技術者は新しい挑戦をしにくくなり、技術の進歩は望めない。一方で、ゼロリスクとは対極にある「カオス」な組織でも同様に、技術開発はうまくいかず破綻すると指摘した。
新しいICT技術を生み出すためには、「ゼロリスクとカオスの中庸で『けしからんいたずら』を怠らない人々のいる組織が健全だ」という。実験的な取り組みが自発的に生まれる環境を維持する必要があるとした。
では具体的にはどのような環境が必要か。登室長は「自律的なプログラミング環境」「自律的なネットワーク環境」の2点を挙げた。ここでいう自律的とは、研究者や技術者が自由にプログラミングやネットワーク設計をできる環境を指す。「自律的なコンピューター・ネットワークの実験環境を自力で勝手に構築することを黙認し、その環境上で彼らが自由に技術開発できるようにすれば、自然に人材が育ち、技術が生まれる」(登室長)という。