全904文字
PR

 ドイツPhoenix Contact(フエニックス・コンタクト)は、非接触で電力とイーサネットのデータを伝送できるカプラー(結合機)を発表した。最大10mmの距離で、100Mビット/秒の全2重通信ができる。ひんぱんな着脱によりコネクターが損傷しやすい産業用ロボットのハンド部などでの利用を想定する。「2021年内の発売を予定している」と同社の担当者は明かした()。

図 非接触型だがビット単位のデータ転送のため、1回のデータ伝送での遅延は2μ秒と少ない(出所:Phoenix Contact)
[画像のクリックで拡大表示]
図 非接触型だがビット単位のデータ転送のため、1回のデータ伝送での遅延は2μ秒と少ない(出所:Phoenix Contact)

 産業用コネクターなどを手掛ける同社が、世界最大級の産業技術展示会「HANNOVER MESSE 2021: Digital Edition」で発表した。50W(24Vで約2A)までの電力を伝送し、60GHzで100Mビット/秒の通信ができる。電力と、ほぼ遅延のない通信をどちらも非接触で伝送できるカプラーは「世界初」(同社)という。

 同製品の外形寸法は79×87×40mmで、質量は490g。ベースカプラー(電力送信側)とリモートカプラー(同受信側)の組み合わせで使用する。通信はビット単位でデータを伝送するため、パケット単位での処理と比較して千分の1程度の遅延(2μ秒)で100Mビット/秒の通信ができるという。

 同製品は非接触型で摩耗がなく、向かい合わせのカプラーが互いにねじれるように回転しても伝送に影響がないため、スリップリング(導体同士の接触で電力や通信を回転体に伝達する部品)の置き換えにも利用できる。水平方向で最大10mm、垂直方向で最大5mmまで離して使える。粉じんが侵入せず、噴流水を受けても影響がない「IP65」規格に対応した。

 同社は同製品について、産業用ロボットなどでの利用を見込む。製造工場などで稼働するロボットに取り付けるカプラーは、摩耗が激しいためだ。産業用ロボットは製造工程などで、激しい動きが要求される場合がある。ハンドなどを交換するツールチェンジも頻繁にあり、「1日に500回程度着脱する場合もある」(同社)。同製品で物理的なカプラーを置き換えれば、着脱による摩耗や損傷を防いでメンテナンスの手間を削減できる。さらに無人搬送車(AGV)の無線給電や、工場のベルトコンベヤーへの利用も想定しているという。