トヨタ自動車は2021年4月19日、中型SUV(多目的スポーツ車)タイプの新型電気自動車(EV)のコンセプト車を、「上海モーターショー2021」(一般公開:21年4月24~28日)で公開した。SUBARU(スバル)と共同開発した車両だ。トヨタは同コンセプト車をベースとする量産車のグローバルでの販売を、22年半ばまでに開始する計画である。量産車の生産は、日本と中国で行う予定だ(図1)。
今回のコンセプト車「TOYOTA bZ4X Concept」をベースに開発する量産車は、トヨタの新しいEVシリーズ「同bZ」の第1弾となる。トヨタとスバルが共同開発したEV専用プラットフォーム(PF)「e-TNGA(Toyota New Global Architecture)」を適用した。専用PFの適用によって前後のオーバーハングを短く、ホイールベースを長くした。これにより、Cセグメント車でありながら、Dセグメントのセダンと同等の車内空間を確保できたという。
また、SUBARUと共同開発した新たなAWD(全輪駆動)システムを搭載し、高い走破性などを実現した。航続距離を延ばすために回生エネルギーの活用に加えて、停車中も充電を行うほか、太陽電池パネルによる充電システム(ソーラー充電システム)を搭載した(図2)。
トヨタは今回の展示会で、今後の電動化戦略も発表した。新しいEVシリーズ「bZ」については、中国や欧米などEVの需要が多く、再生可能エネルギーによる電力供給比率が高い地域に照準を合わせ、25年までに7車種を導入する計画である。
ただ、世界の顧客ニーズに応じた様々な大きさや外観デザインのEVをトヨタ単独で提供するのは難しい。そこで今回のスバルのほかに、子会社のダイハツ工業や資本提携するスズキ、中国のEVメーカーであるBYD(比亜迪)とも共同開発を進める。
さらに、電動車両のフルラインアップ化の一環として25 年までに、bZシリーズの 7 車種を含む合計15 車種のEVをグローバルで導入する。また現在、55車種注)ある電動車両を、25年までに約70車種に増やす計画である。