ディスプレー分野で世界最大の国際学会「Display Week 2021(SID 2021)」オンラインイベントが2021年5月17日~21日に開催された。新型コロナウイルスの感染拡大による影響で2020年8月に続く2年連続のオンライン開催である。見どころは、まずはフレキシブルOLED(有機EL)の動向であろう。毎年勢いを増してくる中国勢とOLEDでリードを保ちたい韓国勢の競い合いが今年(2021年)も見られた。
Samsung DisplayがSIDに戻ってきた
2018年までさまざまなディスプレー技術の展示を行い技術力の優位性を誇示していた韓国サムスンディスプレイ (Samsung Display)は、2019年と2020年にはSIDでの出展をやめた。そのSamsung Displayが2021年のバーチャル展示に戻ってきて見せた内容は、OLED一本に絞った展示であり、OLEDビジネスでの優位性を死守したいという強い思いを感じさせるものである。例年出展している韓国LGディスプレイ(LG Display)も、今年はやはりOLED一本に集中し、OLEDでの優位性を強くアピールした。
一方、OLED技術でも韓国に追いつきつつある中国勢は、京東方科技集団(BOE)、TCL-CSOT(TCL China Star Optoelectronics Technology)、天馬(Tianma Microelectronics)、ビジョノックス(Visionox)の各社がそれぞれ折り畳み型や巻き取り型のOLED開発品を展示した他、LCD(液晶ディスプレー)や、AMQLED(アクティブ型量子ドットディスプレー)、AR/VR用マイクロOLED、LEDディスプレーなど様々なディスプレー技術を展示し、2018年の韓国勢の展示を彷彿(ほうふつ)とさせる内容である(図1)。