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 ディスプレー分野で世界最大の国際学会「Display Week 2021(SID 2021)」(2021年5月17日~21日)は2020年に引き続きオンラインでの開催となった。オンラインイベントでは、メリットとデメリットがあるが、SIDの中心的な会議であるSymposiumではメリットも大きいと感じる。最先端技術の発表を世界中の関係者が時間と空間の制限なく聴講できるからだ。一方で、併設されているExhibitionでは、やはりリアルな展示物を見ないと実際の技術の進捗を確認しづらい。ここ数年、SIDの中でも注目度の高いマイクロLEDに関して、今年(21年)の発表を見ながら、オンラインイベントのあり方を考えてみた。

着実に進化するマイクロLED技術

 マイクロLEDに関しては4つのセッションで計19件の口頭発表が行われた。これらの4つのセッションは、月曜から5日間開催されるDisplay Week期間中の最終日の金曜日に一斉にオンラインでの視聴が可能になる。従来のリアル会議では、同一テーマのセッションは順番に組まれており、2日間程度にわたって順次聴講していく。その間、発表者の発言に耳を凝らして貴重な情報を聞き逃さないようにしないといけない。この方式に比べると、オンラインでは同一テーマの中でも最も興味ある発表から聞くことができ、必要に応じて何度でも繰り返して聞くことが可能であり理解も深めやすい。Display Week期間が終了してもしばらくは聴講が可能であり、後日の都合の良い時に再視聴もできるため、時間的な制約を受けることなく効率よく情報を得ることができる。

 マイクロLEDは、業界の期待も大きく、いつ本格的に立ち上がるのか多くの人々が注目している。一方で、OLED(有機EL)がそうであったように、時間をかけて多くの技術的な課題を解決しながら同時に新しい応用分野を立ち上げていくことが必要である。毎年の発表内容を聞いていると、技術的に着実に進歩しながら新しいプレーヤーもどんどん参入しており、いずれ大きな産業になるだろうということを強く実感できる。

 図1は、ディスプレーメーカーが今回の会議で示した開発品である。詳細な内容や仕様は割愛するが、学会発表として昨年(20年)からの差分を示しながらの内容であり、今後の方向性を含めて着実な技術進歩を実感することができる。今年(21年)の発表を聞いて感じたことは、実用化に当たって、より現実的な課題の議論が深まっていることである。

図1 SID 2021 Symposiumで発表されたマイクロLED
図1 SID 2021 Symposiumで発表されたマイクロLED
かっこ内数値は論文番号。写真は論文またはオンラインでの発表資料から引用。画像使用に当たってはSID事務局の了承済み。
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 1つの事例として、電極の接合がある。これまではマストランスファーという一見華やかな技術開発に注目が集まり多くの方が議論をしていたが、現実にはトランスファーしたLEDチップの微細な電極を確実に電気的接合しないといけない。そのあたりの議論が表に出てきたことも今回の特徴である。