Coat-X Japan(愛知県新城市)は、電子回路基板や電子部品向けに防水・防湿被膜「CXコート」の受託サービスを2022年5月から開始すると「名古屋ものづくりワールド2022」(同年4月13~15日、ポートメッセなごや)で発表した。電子回路基板などの形状をほぼ変えずに、耐水・耐湿性を付与できる。
樹脂であるポリパラキシリレンとセラミックスの多層被膜をCVD(化学気相成長)で製膜する。膜厚は3~5μm。樹脂の持つ柔軟性とセラミックスの持つ高い防水・防湿性の両方の特性を備えた膜を得られる。最大耐熱温度は350度(℃)。用途に応じたカスタマイズにも対応する。
防水・防水性を付与するために、電子回路基板を液体の樹脂に浸漬(ディッピング)して製膜する方法もある。だが、被膜が場所によって膨らんだり丸みを帯びたりして、形状の制御が難しい。加えて、液体であるため表面張力が作用して狭い隙間に入らず、防水・防湿性が劣る可能性もある。
これに対し、新しい被膜は1μmほどの隙間でも入り込んで製膜できるという。「角砂糖の内部の隙間にも被膜を形成できる」(同社)ほどだ。ただし、製膜時間は5~6時間と長いため、多数のワークを一括で処理する必要がある。
スマートフォンをはじめ携帯電子機器や、水中で使う電子機器、雨滴などにさらされる可能性がある車載センサーなどの防水・防湿の需要を狙う。
Coat-X Japanは、オーエスジーの子会社であるオーエスジーコーティングサービス(愛知県新城市)と、高機能コーティングを手掛けるスイスのベンチャー企業Coat-X(コート・エックス)の合弁会社。