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 「顧客から依頼を受けた時に、バイオプラスチック(以下、バイオプラ)の成形技術を持っていないとは言えない」。ブロー成形や射出成形、真空成形などの樹脂用金型や成形技術の開発を手掛ける関東製作所(東京・江東)が、バイオプラの成形技術の確立を急いでいる。同社は射出成形で造ったサンプル成形品を「名古屋ものづくりワールド2022」(2022年4月13~15日、ポートメッセなごや)で披露した。

非食用米由来のバイオプラで成形したスマートフォンスタンド
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非食用米由来のバイオプラで成形したスマートフォンスタンド
米由来の成分とABSを混ぜた樹脂を使って射出成形で造った。ABSと同等の特性を付与できるという。(写真:日経クロステック)

 披露したのは、スマートフォンスタンド。バイオマスレジンホールディングス(東京・千代田)のバイオマス由来・非生分解性プラスチック「ライスレジン」を使って射出成形した。古米や米菓メーカーで発生した破砕米など廃棄される非食用米由来の樹脂で、関東製作所によれば「55%の米由来成分とアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)を混ぜた樹脂」だという。型締め力が450tf(約44MN)の射出成形機を使って加工した。

 ライスレジンの射出成形は難しく、溶融温度や金型の温度が少しでも高いと煙を発しながら焦げて、成形品が焦げ茶色や黒色の不良品になってしまう。この時、「せんべいを焦がしたようなニオイも発する」(関東製作所)。同社は成形品の色などを見ながら最適な温度を探し出した。

 ライスレジンを使った成形品は、ABS製と同等の特性を持たせることが可能だ。加えて、射出成形用の金型は、ABS向けに比べて冷却水の流路に手を加える程度の改良で容易に造れると同社は見込む。