「価格は日本の大手企業製の半額となる150万円」──。ニチリンが驚異的な低価格のレーザーマーカー装置「NL-FLM20W」を「名古屋ものづくりワールド2022」(2022年4月13~15日、ポートメッセなごや)に出品した。治工具やツールなどに刻印するニーズを狙う。現状ではラベルプリンターで作製したテープを貼ったり、ペイントしたりして対応する場合が多いが、剥がれたり剥げ落ちたりするケースがある。2次以降の自動車部品メーカーなど中小企業でも利用できるように低価格に抑えた。
低価格なものづくりを実現した秘密は、中国製品の徹底活用にある。レーザーマーカーを中国で調達し、ニチリンの生産技術部が主導して日本市場向けに装置を完成させた。電圧100Vの電源でも稼働するようにしたほか、日本市場で求められる安全性を確保するために、筐体(きょうたい)などを新たに設計した。耐久性を含めた品質についてもニチリンが確保した。すなわち、中国のコスト競争力と日本の品質力を融合させることで実現した、高品質で低価格なものづくりの事例だ。
最大出力が20Wのパルス発振ファイバレーザーマーカー(FAYbレーザー)を採用。レーザー波長は1064nmで、パルス周波数は20k~100kHz。
価格を抑えるために、平面印刷の機能に絞った。焦点距離が180mmと一定で変わらないためだ。ただし、オプションのロータリーアタッチメントを使えば円筒部品の外周にも刻印できる。
ニチリンの主力事業は、自動車用や二輪車用のホース部品。自動車市場の拡大によって生産量はおおむね増えている半面、単価が下落傾向にある。そこで、高い生産技術力を生かしてレーザーマーカーの新規事業を立ち上げたという。