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 まさに「洗浄剤版下町ロケット」──。三菱重工業向けにロケット部品の洗浄や開発支援などを手掛ける光貴スペーステクノロジーズ(愛知県大府市)が、航空宇宙分野で培った洗浄技術を自動車分野に応用。ディーゼルエンジンのDPF(ディーゼル・パティキュレート・フィルター)向けの洗浄剤「KST-250DPF」を開発した。「早ければ2022年4月中に、遅くても5月には発売する」(同社)と「名古屋ものづくりワールド」(同年4月13~15日、ポートメッセなごや)で発表した。

洗浄前後のDPF
洗浄前後のDPF
左は汚れたDPF。アシュがフィルターの目詰まりを起こしている。右は新しい洗浄剤で洗ったDPF。(写真:日経クロステック)
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 同社は、ロケット部品や航空宇宙設備機器の洗浄のプロフェッショナル。例えば、ロケット部品の1つである配管の特殊洗浄では、直径がμm単位のごく小さな粒子をきれいにする、極めて高い清浄度が要求される。このために、光貴スペーステクノロジーズは使用する洗浄剤の開発まで行っている。しかも、ロケット部品に付着する汚れの物質はさまざまで、その汚れに応じた洗浄剤の開発を手掛けてきた。そうして得た技術力とノウハウを生かし、同社はDPFの洗浄に特化した新たな洗浄剤を開発したというわけだ。

 新しい洗浄剤はアルカリ系。DPFは、排出ガスに含まれる粒子状物質(PM)をこし取るセラミックス製フィルターでできている。PMの主成分は黒煙(スス、炭素)で、フィルターにたまったPMが一定量に達したら、フィルターの温度を高めてPMを燃やす再生処理を行う。この処理により大部分は二酸化炭素(CO2)に変化してDPFから出て行くが、PMの一部やエンジンオイルに含まれる金属系添加材などを成分とする「アシュ(灰)」と呼ばれる物質が燃えずに残る。アシュは熱でフィルターに固着するため、DPFの目詰まりを起こしてしまう。

新しい洗浄剤を使って洗浄したDPF
新しい洗浄剤を使って洗浄したDPF
フィルターに固着したアシュを新しい洗剤が浮かび上がらせる。これにより、水流でアシュが流れ落ちる。(写真:日経クロステック)
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