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 中央エンジニアリング(東京・千代田)は、金属アディティブ製造(AM)でコストパフォーマンスや造形方案の事前評価から造形、後処理、品質保証まで一括して提供するサービスを「名古屋ものづくりワールド2022」(2022年4月13~15日、ポートメッセなごや)に出展した。「金属AMで造形したいという案件の中でコストパフォーマンスの点で割に合うケースは意外と少ない」(同社)ことを踏まえて、「造形だけでなく後処理や品質保証のノウハウを生かした事前評価を重視している」(同社)。その説明のため、品質保証のノウハウを盛り込んだ造形サンプルを展示した。

 その1つがロケットエンジンのノズルを模した造形サンプル(図1)。薄い壁の中に推進剤の流路が縦方向に細かく刻まれており、上部から入った推進剤が下端で折り返して再び上部まで戻る。下りの流路と上りの流路は互いに隣り合っている。この過程で推進剤がノズルを冷却し、推進剤は熱を得て気化する仕組みになっている(エキスパンダーサイクル)。造形サンプルは縮尺模型で「実物とは異なる“なんちゃって設計”だが、実際に造ればそれなりに点火できる設計と思う」(同社)。

図1 ロケットエンジンのノズルを模した造形サンプル
図1 ロケットエンジンのノズルを模した造形サンプル
左が半分にしたカットモデル、右が一部流路を見えるようにしたモデル。(出所:日経クロステック)
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 このような、複雑な内部流路を持つ形状は、AM以外の方法では一体成形できず、多数の部品の組み立てで実現するしかないため、AMに最も向いているといわれる。しかし固化しなかった金属粉材料が造形直後は内部流路に詰まった状態であり、「金属粉を除去する後処理が必要なのと、金属粉が少しでも残っていると困る用途ではX線CT(コンピューター断層撮影)などによる検査に高額の費用をかけなければならない。そこまで含めてコストパフォーマンスが良好といえるかは十分に事前評価する必要がある」(同社)という。

 固化していない金属粉の除去にもノウハウがある。基本的には流路の一方から空気や液体を高圧で入れて流し出すしかないが、流路の形状が複雑であればあるほど、わずかな金属粉が残るおそれが増してしまう。そこで造形時には流路の壁の一部に、金属粉を押し出すための小さな穴を開けておくなどの方法を使う。展示したノズルの造形サンプルでは、ノズルスカートの辺縁部に小さな穴を開けてある(図2)。使用時と異なり、流体を往復させるのではなく、片道の一方通行で押し出せる。流路内部が完全にきれいになったら溶着などでふさぎ、推進剤が漏れないようにする。

 同社のサービスでは、造形などについてはNTTデータ ザムテクノロジーズ(東京・港)と提携している。

図2 ノズルスカートのエッジ部に開けた穴
図2 ノズルスカートのエッジ部に開けた穴
ここから固化していない金属粉材料を効率的に排出する。(出所:日経クロステック)
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