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 平素より「日経ホームビルダー」をご愛読賜り、誠にありがとうございます。1999年7月号の創刊以来、20年余にわたって皆様に支えていただいてきた本誌ですが、誠に勝手ながら2021年4月号(同年3月22日発行)をもって休刊させていただくことになりました。

 本誌は創刊以来、一貫して「家づくりの実務情報」の発信をテーマに掲げ、住宅会社・工務店ほか住宅建設に携わるプロの皆様に向けて、技術やノウハウ、経営、法制度などに関する最新動向を幅広くお伝えしてまいりました。本誌を取り巻く環境が急速に変化するなかで、今回の決定に至りました。

 住宅産業、分けても本誌が重点を置いてきた木造戸建て住宅を巡っては近年、新設住宅着工戸数の減少トレンドや担い手不足の加速と、厳しい事業環境が続いています。さらに20年春以降は、新型コロナウイルスの感染拡大によって、受注や工事にも大きな影響が及んだところです。

 しかし一方で近年は、例えば商業施設や教育・介護施設など木造ニーズが高まる非住宅分野で家づくりの技術・ノウハウを生かしたり、IT活用で顧客対応や現場管理の効率化・省力化を図ったりといった住宅会社・工務店の新たな動きも目立ち始めています。これまでの仕事の手法を挑戦的に見直す機運が、業界全体でかつてないほど活発化していると感じています。

 「安心・快適な住まい」を求める気持ちは万人にとって、いつの時代も根源的な欲求です。その点で、家づくりのプロに課せられる責任と期待は、その時々の社会的・経済的な環境の変化に左右されるものではありません。しかしながら、住宅産業に様々な課題・難題が突き付けられている今日、従来の手法を改めて見直す柔軟さも必要です。こうした観点から、木造戸建て住宅に軸足を置き、地域住宅会社や工務店の実務を念頭に情報発信を続けてきた本誌も、定期刊行の専門誌というメディア形態としては一定の役割を終える時期に達したと認識するに至りました。

 本誌が扱ってきた専門情報はより広範なカバー範囲の建築総合誌「日経アーキテクチュア」や技術系デジタルメディア「日経クロステック」の建築面、書籍やセミナーなどを通じて引き続き発信してまいります。住宅技術の最新動向、家づくりのトラブル事例、地震や水害など大規模自然災害を踏まえた知見ほか、一層、皆様のお役に立てる情報をお届けしていきます。まずはお知らせとともに、長年のご愛顧に厚く御礼申し上げます。

2020年12月
日経ホームビルダー編集長 下田 健太郎