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 デジタル技術を活用したビジネス変革に向けた準備を整えた事業者を、経済産業省が「DX(デジタルトランスフォーメーション)認定事業者」として認定し公表する制度。2020年5月に始めた。DXに必要な取り組みを認定基準として示すことで、事業者がDXに踏み出す契機とする狙い。認定を得ることで、事業者はDXに取り組む姿勢をアピールできる。

 情報処理推進機構(IPA)が事業者の申請を受け付けて審査する。企業のほか個人事業者や公益法人など全ての事業者が申請できる。審査期間は約3カ月。認定の有効期間は2年間で、更新の際は再申請が必要だ。

 審査の観点は4点あり、具体的には「ビジョン・ビジネスモデル」「戦略」「成果と重要な成果指標」「ガバナンスシステム」だ。各観点の認定基準として、デジタル技術の普及による競争環境の変化を踏まえた経営ビジョンの公表、システム構築や人材確保などデジタル技術を取り込む戦略の公表、戦略の達成度を測る指標の公表、経営者自身のメッセージ発信などを求める。審査では特に「組織全体での意思決定と外部への公表を重視する」(経産省情報技術利用促進課)。

 DXに向けた準備状況を評価する制度のため、DXで具体的な実績を上げている必要はない。経産省はこうした認定の観点や基準をまとめ、「デジタルガバナンス・コード」と呼ぶ指針として公開している。

 経産省と東京証券取引所が2020年から発表している「DX銘柄」と比べ、DX認定は裾野がより広い。DX銘柄は東証に上場している企業を対象に、DXの実績を評価している。一方、DX認定は全事業者を対象に、DXに向けた準備状況を評価する。

 もっとも両制度は今後連携する予定だ。経産省は2021年のDX銘柄への応募に関して、DX認定に申請済みであることを条件とした。さらに2022年以降は、DX認定を得た上場企業から同銘柄を選ぶ見通しだ。

 IPAは2020年11月にDX認定の申し込みサイトを開設し、申請を本格的に呼び掛け始めた。2021年1月15日時点のDX認定事業者は、アフラック生命保険と三井住友海上火災保険の2社。制度の普及はこれからだ。

DX投資促進税制の認定条件に

 政府は2020年12月に閣議決定した2021年度の「税制改正の大綱」において、DX関連投資に対して税額控除か特別償却を認める「DX投資促進税制」の新設を発表した。この税制の適用を受ける条件の1つとして、DX認定の取得を定めた。

 同税制の適用を受けると、事業者はDX関連投資の最大5%分の税額控除を受けるか、投資額の30%を特別償却するかを選べる。DX関連投資に該当するのは、ソフトウエアの購入費用や、システムのクラウドへの移行にかかる初期費用などだ。

 法改正などの制度整備期間を経て、制度適用の申請受け付けが2021年夏にも始まる見通しだ。新税制の適用を受けるためには、DX認定の取得を早めに検討する必要がありそうだ。