経済力や学歴など様々な情報に基づいて個人の信用力を数値化した指標。金融機関などが融資額や金利を決める際に利用したり、一般企業がスコアに応じて優遇するサービスを提供したりする。AI(人工知能)を使って、サービスの利用傾向や利用者の性格といった多様なデータから精緻なスコアを算出できるようになったことが、サービス開発を後押しする。
日本における信用スコアの先駆けはソフトバンクとみずほ銀行だ。両社は2016年11月に折半出資でJ.Scoreを設立し、2017年9月から信用スコアを使った個人向け融資サービスを始めた。年齢や学歴、勤務先の業種といった基本情報のほか、ライフスタイルや性格に関する追加情報など160項目以上の質問に対する回答を基に、AIが1000点満点でスコアを算出する。スコアに応じて貸付利率や、借り入れ可能な限度額が変わる。
LINEのグループ会社であるLINE Creditも2019年6月、信用スコアサービス「LINE Score」を始めた。LINEのサービスの利用傾向やアンケート結果を基にAIがスコアを算出する。利用者はスコアに応じて提携企業の特典を受けられたり、キャッシュレス決済時のポイント還元率が上がったりする。NTTドコモは2019年8月、携帯料金の支払い履歴などから算出した信用スコアを融資審査に活用するサービスを金融機関向けに開始した。現在、新生銀行が採用している。
日本で急増する信用スコアサービスだが、先行するのは海外だ。米国では2000年以前からFICO(Fair Isaac Corporation)スコアと呼ばれる信用スコアが普及している。
中国ではアリババ集団から派生したアント・フィナンシャル・サービス・グループが手掛ける芝麻信用(Sesame Credit)が確固たる地位を築いている。決済履歴や学歴のほか、SNS上の振る舞いや交友関係もスコアにひも付いている。
スコアが高いとローンでの優遇措置に加え、旅行や宿泊においてデポジットが不要になるなどの恩恵を受けられる。スコアの高低が男女交際など人付き合いに影響することもあるという。