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 ITサービスの信頼性を向上させる運用の方法論、およびそれに携わる技術者の役割のこと。米グーグルが提唱してノウハウを公開したもので、各種サービスをクラウドで提供する新興IT企業を中心に広まってきた。

 旧来の運用業務と大きく異なるのは、ITサービスの信頼性向上をプログラミングなどの手段により達成する点にある。旧来の運用業務では、担当者がミドルウエアより下層のインフラ領域の作業を担うケースがほとんどで、プログラミングを活用する機会は少なかった。一方、SREではプログラミングに精通したソフトウエア技術者が運用業務を担うことになる。

 SREではアプリケーション実行環境などのインフラ構成をプログラミングコードとして管理し、自動でかつ素早く実行環境を構築する手法などを駆使する。これまでは実行環境を構築するために、手順書に基づいた煩雑な作業が必要だった。

 SREはサービスを安定運用するための「守りの運用」であると同時に、事業に直接貢献する「攻めの運用」とも言える。例えばユーザーが急増した際にもSREを通じてWebサイトの応答速度を維持または改善できれば、ユーザーの満足度は向上する。その結果、サービス契約の継続や拡大、広告収入の増加などにつながる。

既存の運用担当者に変革迫る

 日本でもメルカリやサイボウズ、freeeなどが早くからSREチームを立ち上げており、現在も新たにSREに取り組む企業は増えている。転職市場での求人も増加しており、求人情報検索サイト「Indeed」でSREをキーワードとして職種検索すると、2020年4月時点で200件以上の求人を確認できる。

 技術者コミュニティーの動きも活発だ。IT勉強会を支援するプラットフォームである「connpass」には「SRE Lounge」というグループがあり、1000人以上の技術者が参加している。これまで10回以上の勉強会を開催してきた。2020年1月には「SRE NEXT」というカンファレンスを開催し、30人以上のエンジニアが登壇した。

 設計や開発と比べて注目されにくかった運用に、SREは光を当てる。担当する技術者には能動的に改善に取り組むマインドと技術が求められ、開発を担う技術者に負けないほど創造的な仕事だからだ。

 SREの方法論は、先端技術を常に取り入れている新興IT企業だけに役立つものではない。自動化やインフラ構成のコード化は既存の企業の社内システムに対しても運用の効率化に生かすことができる。

 一方で、基幹系システムをはじめとする旧来の運用現場にSREが持ち込まれた場合、定型作業をこなすことに甘んじてきた運用担当者の仕事が無駄な作業として失われる可能性がある。

 SREの導入は従来の運用担当者に自己変革を迫るものだ。自らもSREを実践するなど、より付加価値の高いスキルの習得が求められそうだ。