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 近距離無線通信の国際標準規格の1つ。国際的に免許不要で利用できる2.4ギガヘルツ帯の電波を使用しており、省電力で接続も容易であることから、スマートフォンやパソコンを中心に普及している。

 日本では2000年代初頭から普及が進んだ。現在では世界で新しく発売されるほぼ全てのスマホ、タブレット端末、パソコンがBluetoothに対応している。対応製品は他にもマウス、キーボード、イヤホン、スピーカー、ビーコン、自撮り棒など多岐にわたる。2024年までに対応機器の年間出荷台数は、全世界で60億台を超える見込みだ。

 Bluetoothに対応した機器同士は原則「ペアリング」と呼ばれる相互認証を行い、データを交換する。数メートル以内での使用が一般的だが、規格や使用条件によっては1キロメートルを超える距離でも通信できる。

 仕様策定と普及促進は非営利団体であるBluetooth Special Interest Group(SIG)が担う。SIGは1998年に設立され、現在は3万5000社以上の企業がメンバーとして仕様の標準化に参画する。Bluetoothの名称は、10世紀のデンマーク王で同国とノルウェーを平和的に統一したハーラル1世の異名「青歯王」から取った。「無線通信でパソコンと携帯電話を統一する」という意味を込めたという。

 Bluetoothには「クラシック」と「LE」という通信方式や使用目的が異なる2つの規格がある。クラシックは当初から存在する規格で、主にパソコン周辺機器に利用されている。LEは「Low Energy」の略で、Bluetooth 4.0から登場した規格だ。クラシックよりも省電力で多数の機器と接続できるため、ビーコンなどIoT(インターネット・オブ・シングズ)機器と親和性が高い。複数の機器が相互接続する「メッシュネットワーク」や、ペアリング先の機器がある方向を割り出す「方向探知機能」などが実装されており、広い倉庫での在庫管理などへの活用が見込まれている。

 SIGは2020年1月に最新版のBluetooth 5.2を発表した。複数のイヤホンに音声を同時配信できる「LE Audio」が新しい機能だ。同時接続数に上限はなく、空港など大規模公共施設で、多言語に対応した音声案内などに使われる見込みだ。

濃厚接触者追跡アプリでも活用

 最近では、新型コロナウイルス対策に使う事例が出てきた。シンガポール政府が公開したスマホアプリ「TraceTogether」は、利用者同士が近づくと自動的にBluetoothで通信し、通信履歴を利用者のスマホに蓄積する。利用者が感染すると、国が通信履歴の提供を求め、その履歴から濃厚接触者を洗い出す。

 GPS(全地球測位システム)ではなくBluetoothを用いた理由は、Bluetoothのほうが省電力で、接触距離推定に向いているからだ。位置データを使わない点が、国民のプライバシー保護を求める声にも合致した。

 TraceTogetherはオープンソース化されており、各国に同様の取り組みが広まっている。日本でも厚生労働省が同種のアプリを早ければ2020年5月中に公開する。