全1236文字
PR

 国税に関する帳簿書類の電子保存ルールを定めた法律。1998年7月に新設された。直近では2022年1月に改正法が施行された。

 同法では、帳簿書類データの保存方法を3種類に区分している。会計システムなどで作成したデータをそのまま保存する「電子帳簿」、紙で受け取った領収書や請求書などをスマートフォンで撮影したりスキャナーで読み取ったりして保存する「スキャナ保存」、電子メールなどで取引先から受け取った領収書や請求書などのデータを保存する「電子取引」だ。

 同法を施行した1998年は企業へのコンピューターの導入が浸透・拡大した時期だった。同法の制定以前、会計帳簿などの国税関係書類は最長10年、紙媒体の保存を義務づけており、パソコンで作成した書類も印刷して保存する必要があった。政府は経理業務の効率化を図りたい民間からの要望を受け、そうした書類を電子データのまま保存する規制緩和に踏み切った。それに際し作成日時の変更や上書きといった改ざんを防ぐ必要があるため、同法で電子文書の保存ルールを定めた。

 同法の施行以降はスマートフォンやクラウドの普及などの時代の変化に応じ、改正を重ねている。最初の主な改正は2005年。3万円未満の領収書などについて、電子署名とタイムスタンプなどで電子データの作成者と作成日時を証明できればスキャナ保存をできるようにした。しかし、出張などの交通費では3万円を超えることもしばしばだ。そこで2015年の改正では、3万円未満の金額基準や電子署名の要件を撤廃した。

 2016年にはスキャナ保存について、デジタルカメラやスマホで撮影した画像も対象に加えた。領収書や請求書を受け取った本人が読み取る場合は、受け取った人が署名し、3日以内にタイムスタンプを付与することを条件とした。2019年にはスキャナ保存の期間制限を緩和、2020年にはキャッシュレス決済による経費も一定の条件を満たせば決済データを領収書の代わりに保存可能にした。

2022年の改正では規制強化も

 2022年1月の改正では電子データによる保存を促進するため、手続きの抜本的な見直しと要件の緩和を盛り込む。税務署への事前申請を不要にしたほか、受領した領収書をスマホで撮影し保存するまでの期間を3営業日以内から2カ月強に延長。所定の条件を満たすクラウドサービスを使えば、請求書や領収書などの電子データの作成日と非改ざんを証明するために義務づけていたタイムスタンプを不要とし、紙の原本はスキャンをすれば破棄を可能にすることも盛り込んだ。

 一方で、電子取引については規制を強化。取引先から電子メールなどで受領した請求書や領収書などは、電子データのまま保存することを義務づけた。印刷して紙の書類として保存した場合、税務申告の書類として認められなくなる。この規制強化については施行から2年間の猶予が設けられている。企業はこの期間に同法の規定に準拠したクラウドサービスを活用するなど、対応を急ぐ必要がある。