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 デジタル技術を活用した芸術作品を指す。「メディアアート」と呼ばれることもある。デジタル化した写真やイラスト、コンピューターグラフィックス(CG)を使った作品のほか、ロボティクス、電子音楽などを組み合わせ、空間全体を総体的に芸術として体験させる作品もある。展示空間に多数のセンサーを配置することで、鑑賞者の動きに従って光や音響、画像などを変えていくといったインタラクティブ性を作品に加えることが可能だ。

ビジネスでの活用も活発に

 文化庁と国立新美術館は1997年度から「文化庁メディア芸術祭」を催し、優れたメディア芸術作品を表彰している。同芸術祭はデジタル技術を活用した芸術作品やアプリケーション、ゲーム、アニメーションなどの作品を紹介する場となっている。

 当初のデジタルアートは、こうした展覧会に出展したり、インターネット上で公開したりする作品という印象が強かった。これに対して近年は、ミュージックビデオでの活用をはじめ、商業施設や観光名所などの内外装に組み込まれることによって、一般の人の目に触れる機会が多くなった。

 音楽分野では女性歌手グループ「Perfume」のNHK紅白歌合戦への出演時やミュージックビデオの舞台美術としてデジタルアートが使われた事例が有名だ。観光分野では愛媛県松山市で、道後温泉本館に幻想的な光のアートをプロジェクターから投影するプロジェクションマッピングのイベントが2019年4月に開かれた。

 デジタルアートの専用ミュージアムも開設されている。デジタルアートを手掛けるチームラボと森ビルが共同で運営する「エプソンチームラボボーダレス」である。単独アート集団の作品を展示するミュージアムながら、展示空間は1万平方メートルと広大だ。約40の作品を展示する。2018年6月の開館以来、1年間で来観者が約230万人に達した。

 ミュージアムやギャラリーの施設内ではなく、公共の場で展示される「パブリックアート」にデジタルアートが採用される例も出てきた。2020年7月16日から東京・豊洲のミュージアム「チームラボプラネッツ」の館外で公開された作品では、CGで描かれた「滝」の前に人が立つと、流れ落ちる水が割れるインタラクティブ性を楽しめる。

「空から降り注ぐ憑依する滝」と題するデジタルアート。CGの滝の前に人が立つと水が割れて流れ落ちる(写真提供:チームラボ)
「空から降り注ぐ憑依する滝」と題するデジタルアート。CGの滝の前に人が立つと水が割れて流れ落ちる(写真提供:チームラボ)
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