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 2021年9月1日に発足したデジタル庁で、同庁を担当する「デジタル大臣」の補佐と庁の実務の取りまとめを担う特別職。政府はデジタル庁において、民間のデジタルトランスフォーメーション(DX)の経験や知識を取り入れるため、民間人を積極登用する方針を示している。デジタル監はデジタル庁の民間登用ポストで最高位の役職であるほか、政府全体でも民間人を継続的に登用する役職では最高位の1つである。初代デジタル監には経営学を専門とする一橋大学の石倉洋子名誉教授が就任した。

 デジタル監の役割や位置付けは、2021年5月に可決し同年9月1日に施行した「デジタル庁設置法」で規定している。「デジタル庁の長は内閣総理大臣」(第6条)であり、デジタル庁に関して「内閣総理大臣を助け」(第8条第3項)る役職として「デジタル大臣」を国務大臣から充てる。デジタル監の職務の1つは、デジタル庁の重要業務について「デジタル大臣に進言し、及びデジタル大臣の命を受けてデジタル大臣に意見を具申すること」(第11条第2項第1号)。つまりデジタル庁の実質的なトップであるデジタル大臣に対して意思決定や政策遂行を補佐する役割である。他省庁でいえば、国会議員が務めることが多い大臣補佐官に相当する。

 デジタル監の2つ目の職務は、「デジタル大臣を助け、庁務を整理し、デジタル庁の各部局及び機関の事務を監督すること」(第11条第2項第2号)、つまりデジタル大臣の指示を受けながらデジタル庁の実務を取りまとめる役割である。他省庁でいえば、官僚トップである事務次官に相当する。デジタル監は大臣補佐官と事務次官の2つの役職を兼ねる重要ポストともいえる。

政府CIO制度を改革、権限強化

 デジタル監の前身は、民間人を登用して2013年6月に制度が発足した内閣情報通信政策監(政府CIO)である。政府の情報システムやデジタル政策について内閣官房長官などを補佐する役職で、省庁の壁を越えてシステム調達のムダや無理をなくすべく、各省庁に対するIT調達の総合調整を担っていた。政府のIT政策をまとめる「高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部(IT総合戦略本部)」の本部長である首相にも進言できた。

 しかし政府CIO制度は十分に機能しなかった。内閣官房が各省のIT予算に関与する権限を持たなかったほか、政府CIOから各省に求めた改善なども実質的には助言にとどまり、総合調整の役割を発揮しにくかったためだ。

 その反省からデジタル庁では「IT予算一括計上」の制度を本格化した。政府が各省のIT予算をいったんデジタル庁に集約し、各省のシステム調達をデジタル庁との共同プロジェクトにすることで効率化・共通化を促す。一括計上の枠は年々広げていく。デジタル監はデジタル庁が持つ権限を背景に、各省との共同プロジェクトを通じた総合調整でリーダーシップを発揮したり、民間での経験を生かして行政DXを推進したりするなどの役割が期待されている。