6つの構成要素を提示
こうした現状の課題への対案として、同協議会はTrusted Webの構築を提案した。具体的にTrusted Webを実現するために必要な構成要素として「検証可能なデータ」「アイデンティティー」「ノード」「メッセージ」「トランザクション」「トランスポート」の6点を挙げ、これらを現状のインターネットに重ねて実装するための道筋を示した。
例えば「検証可能なデータ」では、データに対してデジタル署名などを用い、データを検証できる仕組みを実装する。ただし、署名のたびにその「署名の意図」をデータとしてどのように示すかなど、実装に向けた課題は多い。
そこで、同協議会はデジタル庁と連携して、実際に事業者などを公募してサービスを実装して検証するユースケース実証事業を2022年9月に始めた。富士通Japanによる「学修情報流通システム」、ヤンマーホールディングスによる「機械製品サプライチェーンにおけるトレーサビリティ管理」、情報サービス産業協会(JISA)による「法人税制と工業会証明書」など13件を採択し、2023年3月までに実証検証を実施する。
同協議会では今のところ、Trusted Webの具体的な実装方法はまだ示していない。実証事業を通じてTrusted Webの実装の形を具体化していくとともに、事業者とインフラ作りを進めるための地ならしをする方針だ。
官民挙げてTrusted Webの構想を推進する意義について、同協議会の運営を担う内閣官房デジタル市場競争本部事務局の成田達治次長は「デジタル空間でのトラスト(信頼)は次の(デジタル領域でのビジネスの)キーワードになる。Trusted Webはデジタルインフラにトラストの仕組みを入れるものだ。デジタルでのビジネスはサービスとして展開し、検証や標準化を経てスケールしていく。事業者が次のゲームチェンジを起こすには、早い段階でインフラづくりに関与することが重要だ」と説く。