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 デジタルシティズンシップとは、デジタル機器やインターネットを活用して、市民が自身の力で身の回りや社会の課題を解決できるスキルを指す。

 デジタルシティズンシップの考え方を広めたのは米国の国際教育テクノロジー学会(ISTE)である。ISTEは1998年から情報教育基準(NETS)を作成しており、その2007年版にデジタルシティズンシップという考え方が登場した。欧米では2010年代ごろからデジタルシティズンシップの重要性が広く認知され、児童・生徒にこうしたスキルを習得させることを意識した教育を実践している。欧州評議会でも2016年にデジタルシティズンシップに関する専門家委員会を設置し、同時に教育プロジェクトも立ち上げた。

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 日本国内では新型コロナウイルス禍以降、学校教育にデジタルシティズンシップの考え方を採り入れる動きが出始めている。国内の教育現場では文部科学省が推進したGIGAスクール構想などにより、デジタル機器・サービスの導入が進んだ。ただ、1人1台の端末を持つ時代に入った一方、現状ではそれらの活用が進んでいるとは必ずしもいえない。

 その要因の一つは従来の「情報モラル教育」であると、国際大学GLOCOMの豊福晋平准教授は指摘する。豊福准教授は日本デジタル・シティズンシップ教育研究会の設立メンバーの1人でもある。「学校ではこれまで、デジタル機器やインターネットは危ない、あるいは1日2時間以上端末を使っていると勉強ができなくなるから禁止、など批判的・抑制的な教育を行ってきた」(豊福准教授)。

 一方、学校外の日常生活でデジタル機器やインターネットを使用している小中学生は多い。それらの活用方法について学校で習得することなく使い続けると、トラブルが起きたときに対処法が分からなくなってしまう。国内でもこうしたひずみが新型コロナ禍以降に問題視され、その解決策としてデジタルシティズンシップの考え方が注目されるようになった。