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 プログラム開発言語を使ったコーディングの代わりに、GUI(グラフィカル・ユーザー・インターフェース)を用いてアプリケーションを開発する手法。開発者はマウス操作でシステムの画面構成やモジュール同士の関連付けなどを設計できる。ローコード開発は一部の個別カスタマイズなどをコーディングで補うのに対し、ノーコード開発では全くコーディングを行わないという点に違いがある。

 ローコード開発はプログラミングスキルを持つ技術者がより簡単に、短期間でアプリケーションを開発する場合に用いられることが多い。一方、ノーコード開発はプログラム開発言語に関する知識がない業務部門の担当者でもアプリケーションの開発が可能だ。ただし、採用する開発ツールにより開発者に求められるスキルには差がある。

 どちらもプログラムの可読性が高く、リリース後の保守や機能変更、追加が容易にできるというメリットがある。コーディングが減ることで、人為的ミスを防ぐこともできる。アプリケーションを短期間で作成できるため、まずはプロトタイプを作成し、業務部門などのフィードバックを受けながら開発を進めるといったアジャイル形式の開発にも活用しやすい。

日本企業も活用、背景に2025年の崖

 米ガートナーは、ローコード開発が2024年までにアプリケーション開発全体の65%以上を占めると予測している。日本においても経済産業省が発表した「2025年の崖」で、複雑化した既存システムの存在が経済にもたらす影響が指摘されている。このことから、手軽に開発できるローコード/ノーコード開発の活用は日本企業でも進むとみられる。ローコード開発基盤を提供する米アウトシステムズの日本法人・Outsystemsジャパンの阿島哲夫ソリューションアーキテクトは「新型コロナウイルス禍で環境の急速な変化を感じ、システム開発のスピードを重視する企業が増えた。ローコード開発はコロナ禍前に出されたガートナーの予測以上の速さで広がっていくのではないか」と予測する。

 日清食品ホールディングスはサイボウズの「kintone」や米マイクロソフトの「Power Platform」を活用して業務で必要なアプリケーションを内製する体制を構築。決裁書や稟議書などのデジタル化に取り組み、書類の承認にかかる期間を4分の1にした。小林製薬はWebシステムの開発に「Outsystems」を、りそなホールディングスはウルグアイ・ジェネクサスのローコード開発ツール「GeneXus」を営業店システムのアプリケーション開発にそれぞれ採用。どちらも開発期間を50%以上削減した。

 幅広い業界で採用が進むローコード/ノーコード開発基盤だが、企業内の各部門が容易にアプリケーションを開発できるようになれば「独自アプリ」乱立の危険性もはらむ。各部門の個別最適に閉じず、会社としての全体最適を見越した「アプリケーション開発の統制」を取れるようになるかが企業にとっての成功のポイントとなりそうだ。