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 ネットワークの構成や設定をソフトウエアで柔軟に変更できるようにするアーキテクチャーを指す。SDNコントローラーと呼ばれるソフトウエアにより、ルーターやスイッチ、無線装置などの通信機器を集中的に制御することで、ネットワーク構成などを必要に応じて即座に変更できる。主に企業や自治体のネットワークやデータセンターで導入されている。国内ではNECや米シスコシステムズなどが対応製品やサービスを提供している。

 従来のネットワークでは、通信機器がネットワーク制御とデータ転送処理の両方を担っており、目的地にデータを転送する際の経路については個々の通信機器が判断してデータを受け渡していた。ネットワークを増設したり構成を変更したりする際は、ケーブルの抜き差しといった物理的な作業や通信機器1台ごとの設定が必要だった。

 SDNではネットワーク制御機能とデータ転送処理機能を分離して、SDNコントローラーにネットワーク制御機能を持たせる。通信機器はデータ転送処理のみを担う。ネットワークを1カ所で集中管理して制御することで、ネットワークの輻輳(ふくそう:アクセスの集中による混雑)や通信機器の稼働状況などを一元的に把握し、自動的に最適な経路でデータ転送をできるようにする。ネットワークの増設や構成変更の際も、SDNコントローラーで一括設定できるため、通信機器の個別の設定は必要なくなる。

 セキュリティー製品をSDNに組み合わせて、ネットワークのセキュリティーを高める取り組みもある。サイバー攻撃を検知すると、マルウエアに感染した端末の通信をSDNが遮断することなどにより、他の端末への感染拡大や情報漏洩などを防ぐ。

 SDNはソフトウエアでネットワークを仮想化・自動化するため、管理者の負担が減る。GUI(グラフィカル・ユーザー・インターフェース)ベースの管理画面を利用すると、ネットワークに関する専門知識に乏しいIT部門のシステム運用担当者などでもネットワークを管理できるようになる。IPアドレスやVLAN(Virtual LAN)識別番号、ケーブルを挿すインターフェースの固有番号などを理解すれば、ネットワーク構成の変更などの作業が可能だ。

 「ITベンダー任せにせず自社で管理をしたいとのニーズから、少人数のIT部門などからの引き合いや受注が増えている」とNECのネットワークサービスビジネスユニット デジタルネットワーク事業部の鈴木洋司シニアマネージャーは話す。

新型コロナ禍で再注目

 SDNは2012年頃から注目を集め対応製品などが登場しているが、昨今の新型コロナウイルス感染拡大で再び関心が高まった。リモートでのネットワークの管理/変更が容易になり、ネットワーク管理者が通信機器のある場所に出向く機会を大幅に減らせるためだ。SDN関連製品などを販売するITベンダーはコロナ禍で生まれたニーズを、SDN普及に向けた商機としたい考えだ。