全1244文字
PR

 一人ひとりの働き手がDX(デジタル変革)を自分ごとと捉え、行動できるようにするため、身につけておくべき基本的なデジタルリテラシーをまとめたガイドライン。経済産業省が中心となり2022年3月に策定・公表した。

 これまで企業におけるIT活用は情報システムの導入に重きが置かれていた。そのため、担い手となる人材も企業の情報システム部門やベンダーの技術者などに限られていた。しかし社会全体にデジタルが浸透したことで、データやITを活用したビジネスの重要度も高くなっている。

 そうした環境変化を踏まえ、現代の社会人には学生時代やこれまでの業務経験で身につけた知識やスキルに加え、DX向けの新たな学びが必要になる。DXリテラシー標準では、社会人がそうしたDXに向けた学びを体系的に得られるようにすることを目指している。

 DXリテラシー標準では学びの体系を「Why」「What」「How」、およびそれらの根幹となる「マインド・スタンス」という4項目の枠組みで構築している。

 マインド・スタンスは新たな価値を生み出す基礎として、「変化への適応」「コラボレーション」「顧客・ユーザーへの共感」「常識にとらわれない発想」「反復的なアプローチ」「柔軟な意思決定」「事実に基づく判断」の各観点で必要な考え方を学び、学習者の行動変容につなげる。

 Whyでは、社会や経済の環境がどのように変化するか、DXがなぜ重要かを理解することがゴールだ。具体的には、国内外におけるDXの取り組みの差、デジタル技術を活用し競争環境を変化させた事例などを学ぶ。

 Whatでは、DXの推進手段であるデータやデジタル技術について理解することを目指す。具体的にはデータの抽出・加工・分析手法、AI(人工知能)の作成手法・技術や得意分野・限界、ハード・ソフトやクラウド、ネットワークの仕組みなどを学ぶ。

 Howでは、データやデジタル技術の活用事例を学び、自らもツールを使い実業務に活用することを目指す。具体的にはノーコードやローコードの基礎知識、セキュリティー技術、ネットトラブルや個人情報保護、知的財産、諸外国のデータ規制などを学ぶ。Whatは知ることがゴールなのに対し、Howは実業務で活用するレベルを目指すという違いがある。

国内企業の9割がIT人材不足

 これらの内容を円滑に学ぶため、経済産業省と情報処理推進機構(IPA)は2022年3月にポータルサイト「マナビDX(デラックス)」を開設した。同サイトは、DXリテラシー標準に関連する民間企業各社やIPAの講座などへのリンク集となっている。

 IPAの「DX白書2021」によると、国内企業の9割近くがIT人材の質量ともに不足していると回答しており、人材の確保が長年の課題だ。その解決に向け、例えばサッポロホールディングスは「DX・IT人財育成プログラム」、三井物産は人材育成プログラム「Mitsui DX Academy」をそれぞれ開講するなど、DX推進に向け人材育成を進めている。