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専用のアドレスを用意

 マルチキャストで宛先を指定するIPアドレスは、ユニキャストと大きく異なる。ユニキャストの場合、端末ごとに一意に決まるIPアドレスを割り当てる。これに対し、マルチキャストは受信を望む端末が所属するグループ(マルチキャストグループ)に対してIPアドレスが割り当てられる。このアドレスは「マルチキャストアドレス」と呼ばれる。

 マルチキャストアドレス向けに、特別なアドレスブロックが用意されている。IPv4には「224.0.0.0~239.255.255.255」、IPv6には「ff00::/8」が使われる。マルチキャストアドレスのうち、IPv4では下位28ビット、IPv6では下位112ビットがグループを指定する「グループID」である。

2種類のプロトコルが活躍

 マルチキャストでは2種類のプロトコルが大きな役割を果たす。1つは受信側の端末がマルチキャストグループへの参加や離脱を伝えるプロトコルだ。IPv4では「IGMP(Internet Group Management Protocol)」、IPv6では「MLD(Multicast Listener Discovery)」が使われる。もう1つはマルチキャスト用のルーティングプロトコルである。いくつかの種類があるが、「PIM(Protocol Independent Multicast)-DM(Dense Mode)」「PIM-SM(Sparse Mode)」「SSM(Source Specific Multicast)」の3つが主に使われている。

 IGMPとPIM-SMで動作の仕組みを簡単に見ていこう。まず受信端末はIGMPを使って上位のルーターにマルチキャストグループへの参加要求を伝える。ルーターはPIM-SMでさらに上位にある「ランデブーポイント」という特別なルーターに参加要求を送る。ランデブーポイントはすべてのマルチキャストパケットを中継する要所となる(PICT2)。一方、送信元となる端末はパケットをランデブーポイントに送る。そしてグループに所属する端末に向けて、パケットをコピーして転送する。

PICT2●グループの参加者だけにデータを送る
PICT2●グループの参加者だけにデータを送る
(イラスト:なかがわ みさこ)
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