全1365文字
PR

 Open RANはオープンインターフェース仕様に基づいて構築する、機能を分離したRAN(無線アクセスネットワーク)を指す。

 基地局をマルチベンダー装置で構成できるため、通信事業者は目的に応じて複数ベンダーの製品を柔軟に選び、ネットワークを迅速かつ低コストで構築できる。NECの川口研次第二ワイヤレスアクセスソリューション事業部シニアマネージャーは「新技術への対応もしやすくなる」と話す。従来は単一ベンダーの機器でネットワークが構成され、他ベンダーの装置が排除されることが多かった。

 具体的には基地局の無線機であるRU(Radio Unit)と制御部であるCU(Central Unit)、DU(Distributed Unit)の3つにノード分割し、ノード間のオープンインターフェースを策定することで、複数のベンダーの機器同士を接続できるようにする。

 RUはRFトランシーバーと無線の物理層の下位機能を担う。端末との間で電波を送受信し、信号をアナログ-デジタル相互に変換する。DUは無線リソース割り当てなどのMAC(Media Access Control)、再送制御などのRLC(Radio Link Control)といった役割を担う。CUはパケット暗号化などのPDCP(Packet Data Convergence Protocol)、端末の無線リソース管理などのRRC(Radio Resource Control)といった役割を担う。

通信事業者などの業界団体が旗振り

 RANのオープン化やインテリジェント化を目的とした業界団体「O-RAN ALLIANCE」が仕様策定を進める。同団体は2018年2月、米AT&Tや中国移動、NTTドコモなど世界の通信事業者5社が中心となって設立した。

 国内企業もOpen RANに商機を見出す。NECは2021年9月、スペインの大手通信事業者テレフォニカと世界4カ国でのOpen RANのプレ商用実証に合意した。NTTデータも2021年9月、米マベニアとOpen RAN製品の提供やネットワーク構築で協業した。

 NTTドコモは、2021年2月に米インテルや米エヌビディア、NEC、富士通、NTTデータなど計12社と共同展開する「5GオープンRANエコシステム」を発表した。Open RANの導入を検討する通信事業者のニーズに応じ、Open RAN対応の5G基地局をパッケージとして提供・運用することを目指す。

 Open RAN普及の鍵となるのが仮想化とインテリジェント化だ。5Gでは低遅延や高スループットなど、通信要件が顧客企業や用途ごとに異なる。そこでRANを仮想化するvRANが注目されている。汎用サーバー上の仮想化環境でソフトウエアを動かしたり、1つのハードウエアで複数のソフトを使用したりできる。

 インテリジェント化では、「RIC(RAN Intelligent Controller)」と呼ばれる機能によりネットワーク設計や運用の最適化を目指す。RICはオープン化により様々なベンダーの機器を管理する必要が出てきたのを受け、O-RAN ALLIANCEで検討が進む。RICにAI(人工知能)を活用し、高負荷や通信障害の予兆を検知して安定した通信環境の構築を支援する考えだ。