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 老朽化した情報システムを刷新する手法。過去に作られたシステムを放置していると、老朽化とともに、内部構造が複雑化しシステムが処理している業務フローが分からなくなったり、性能やユーザビリティー、セキュリティーなどの要求を満たせなくなったりする問題が生じる。

 システム担当者の高齢化やスキルアップ機会の喪失も問題になる。老朽化したシステムの保守・運用では、陳腐化した技術を使い続けるしかない。特定のメンバーをアサインし続けると高齢化問題が生じるし、若手や中堅をアサインするとスキルアップの機会を奪うことになる。

 これらの問題を解決する主要なモダナイゼーションの手法には「ラッピング」「リホスト」「リライト」「リビルド」の4つがある。課題や予算に応じて選択する。

モダナイゼーションの主な4つの手法
モダナイゼーションの主な4つの手法
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 ラッピングは既存システムに手を加えず、画面やAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)だけ新たに開発する。問題がユーザビリティーや他システムとの連携に限られる場合に有効だ。

 アプリケーションのプログラムは変えずに、サーバーやOS、ミドルウエアだけを刷新するのがリホストだ。例えばCOBOLプログラムをメインフレームからオープンシステム上の動作環境に移植する。ハードウエアの保守終了が迫っている場合によく使われる。要件定義や設計が不要なため、少ない工数でプロジェクトを完了できる。ただしユーザビリティーや拡張性は改善できない。

 リライトはソフトウエアを別のプログラミング言語に書き換える。多くの場合、専用の変換ツールを利用する。技術者の確保が困難で保守コストが高どまりしているケースで有効だ。プログラミング言語の変更に伴って、設計のやり直しが必要になる場合がある。

 リビルドは現行の機能仕様書を基に設計や実装をやり直す。最新の要求に合致したシステムを作れるが、プロジェクトの工数が大きく失敗リスクが高い。SaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)やパッケージソフトを活用する場合には、必要か不要かも含めた現行機能の詳細な調査が欠かせない。現行踏襲にこだわると、開発の規模が大きくなる。

 経済産業省は2018年9月に公表した「DXレポート」で、放置された老朽化システムが要因となり、2025年以降に年間で最大12兆円の経済損失が生じる可能性があると指摘。このリスクを「2025年の崖」と表現した。崖に落ちないようにするため、老朽化したシステムを抱える企業はモダナイゼーションを避けては通れない。