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 「統一QR(JPQR)」はスマートフォン決済で利用するQRコードの標準仕様である。経済産業省などが中心になり設立したキャッシュレス推進協議会がガイドラインの策定や普及事業を進めている。

 スマホ決済に利用するバーコードやQRコードの仕様は通常、事業者が個別に定める。店舗側(加盟店)は事業者ごとにコードを読み取れるようにPOS(販売時点情報管理)システムを改修したり、店頭にQRコードを用意したりする必要がある。JPQRを各事業者が採用すれば、こうした手間が不要になると期待される。

 キャッシュレス推進協議会は2019年3月29日に「コード決済に関する統一技術仕様ガイドライン」を公表。スマホに表示したコードをPOSシステムなどで読み込む「利用者提示型(CPM)」と、店舗情報などが記録されているコードを利用者がスマホで読み取って決済する「店舗提示型(MPM)」の2種類について、仕様を示している。

統一QR(JPQR)が定義している二つの方式
統一QR(JPQR)が定義している二つの方式
出所:日経FinTech
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 CPMに関してはPayPayやLINE Pay、メルペイ、楽天ペイ、d払い、au PAYなどの事業者が対応を表明済み。MPMは岩手県、長野県、和歌山県、福岡県の4地域で2019年8月から実証実験を進めている。

 だがJPQRが標準としてどの程度普及するかは未知数だ。スマホ決済事業者にとっては、JPQRを採用するメリットが今ひとつ見えにくい。例えば、自社が獲得した加盟店に他の事業者が「相乗り」しやすくなる可能性が出てくる。「営業努力が無駄になるのではないか」と懸念を示す事業者もある。

 加えて、JPQRは日本の仕様であり、中国のスマホ決済事業者との相互利用ができなくなる可能性が高くなる点を問題視する声も出ている。決済事業者やサービスの再編が今後進むことも考えられ、その中で標準仕様がどのような意味を持つかも問われそうだ。