フランス・ルノー(Renault)は2019年1月、会長兼最高経営責任者(CEO)だったカルロス・ゴーン(Carlos Ghosn)氏が退任し、新会長にフランス・ミシュラン(Michelin)CEOのジャンドミニク・スナール(Jean-Dominique Senard)氏が就く新体制を発表した。これを受け、日産自動車の社長兼CEOである西川広人氏は「スナール氏は優れたビジネスパーソンであり、経験豊富。パートナーとして尊敬でき、透明性も十分にある。歓迎したい」とコメントした。スナール氏も「優先して取り組むのは、ルノーの新体制構築と、日産・三菱自動車との関係強化だ」と抱負を述べた。
友好ムードだが、楽観はできない。ゴーン氏が逮捕された2018年11月以降、日産とルノーの取締役の間では「コミュニケーションが上手く行かなくなった」(西川氏)という。日産はゴーン氏を会長から外す決定をしたものの、ルノー側は裁判の様子を見守るという姿勢をとったためだ。開発現場でも3社アライアンスの協業プロジェクトがぱたりと止まったという。
一度冷え込んだ関係を修復するのは容易ではない。問題の根幹は、3社の実力(技術力や収益力)と、資本関係がねじれていることだ。ルノーは日産に43%、日産はルノーに15%出資し、日産は三菱自株を34%保有する。資本の論理ではルノーが主導権を握るが、電動化や自動運転など、次世代の技術力では日産が上との見方がほとんどだ。利益の大半も日産が稼いでいる。この問題を解決できないと、日産の現場に不公平感が溜まり、3社アライアンスが再び機能不全に陥りかねない。これを機に3社の資本関係を見直し、危機をチャンスに変えられるのか、正念場は続く。
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