フランスValeo(ヴァレオ)は2021年12月、同社の最新(第2世代)LiDAR(レーザースキャナー)が、ドイツDaimler(ダイムラー)のレベル3の自動運転システム用センサーに採用されたと発表した。ヴァレオの同LiDARがレベル3の自動運転システムに採用されたのは、今回が世界で初めて。
ダイムラーは、ヴァレオの第2世代品を使ったレベル3の自動運転システム「DRIVE PILOT(ドライブ・パイロット)」を、旗艦セダン「メルセデス・ベンツ Sクラス」に搭載し、22年前半にドイツで発売する計画である。同システムの搭載により、高速道路の単一車線において一定の条件下で車速60km/hまで、「ハンズオフ」や「アイズオフ」の自動運転が可能になる。
高速道路の単一車線におけるレベル3の自動運転システムは、ホンダの旗艦セダン「レジェンド」にも搭載されている。同車にもヴァレオのLiDARが採用されているが、これは同社が17年から量産している第1世代品である。
これに対してダイムラーは、21年にヴァレオが量産を始めた第2世代品を選んだ。第2世代品の水平検知角は133度、垂直検知角は10度、水平分解能は0.125度。最大検知距離は歩行者で約50m、乗用車で約150m、トラックで約200mである。
第2世代品の垂直検知角は第1世代品の3倍、水平分解能は同2倍に向上しているという。両世代品ともに、レーザー光の波長は905nm(近赤外線)であり、スキャン方式は回転するミラーを内蔵した「メカニカル型」だ。Sクラスは、この第2世代品を前部バンパーの中央に1個装着し、車両前方の広い範囲の対象物(自動車や自転車、歩行者など)を検知する。