2039年に全車カーボンニュートラル
「わが社の創業者が馬なしでモビリティーを造り出したように、我々は排出ガスなしでモビリティーを造り出すことが課題だ」。長年ドイツ・ダイムラー(Daimler)の社長を務めたディーター・ツェッチェ氏に代わり、2019年5月に新社長に就任したオラ・ケレニウス(Ola Kallenius)氏は、2019年9月のフランクフルトモーターショーで、電動化への意思を改めて示した。
ダイムラーは2020年末までに20車種以上のプラグインハイブリッド車(PHEV)または電気自動車(EV)を市場投入する計画だ。2030年までに販売する新車の半分を電動車にするとした。また、欧州では2022年までにカーボンニュートラルな新車生産を実現し、2039年には全ての新車でカーボンニュートラルを達成する目標を掲げている。
フランクフルトショーでは、メルセデス・ベンツ(Mercedes-Benz)のEVブランド「EQ」シリーズ第3弾となるコンセプトカー「ビジョンEQS(Vision EQS)」を公開。同車はEQシリーズで初の大型セダンに当たる。オラ・ケレニウス氏は「ビジョンEQSは高級セダンのこれからの形を示すものだ」と述べた。他に、量産型となるミニバンの新型EV「EQV」を発表。また、AクラスとBクラスではPHEVも公開した。
長距離の本命はEVよりFCV
「我々は電動化の最前線にいる。BMWグループがノルウェーで販売した車両は4台中3台が電動化車両だ」。ドイツBMW会長のオリバー・ツィプセ(Oliver Zipse)氏は、2019年9月のフランクフルトショーで、BMWグループの電動化戦略の成果を語った。
同グループでは、PHEVなどの電動化車両を2023年までに25車種導入する計画を掲げている。うち、半数以上をEVとする方針だ。ただ、航続距離を考慮すると、水素燃料電池の技術が鍵を握るとBMWは見込む。2022年には燃料電池車(FCV)の試験車両を導入する予定とし、FCVのコンセプトカー「i Hydrogen NEXT」を初公開した。
AIは生産ラインで欠かせない存在
「人工知能(AI)の生産ラインへの活用が次世代勝者の条件になる」─。生産現場でのAIの活用について、日産自動車副社長で生産担当の坂本秀行氏は2019年9月、都内でこのように述べた。
日産の生産現場では、(1)製品の検査、(2)ロボットの故障予測、(3)顧客の需要変動への対応、(4)部品メーカーが被災したときの効率的な生産─の4項目でAIを活用している。
坂本氏は、作業員が苦手な作業を担ったり、時間にとらわれない働きやすい環境を実現したりするのがAIやロボットであり、人間との補完関係になっていくと予測する。AI活用は、今後欠かせないものになっていく、とした。
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