業界全体で人と技術を残す

日本自動車工業会(JAMA)、日本自動車部品工業会(JAPIA)、日本自動車車体工業会(JABIA)、日本自動車機械器具工業会(JAMTA)の自動車工業4団体は2020年4月10日、新型コロナウイルス対策に関する記者会見を開催した。会見でJAMA会長の豊田章男氏は「世界で約9000兆円あったGDPが、3カ月で15~20%失われた」と指摘した。
苦境にあえぐ自動車関連企業を救済するため、自動車4団体はファンドを設立する方針である。「致命傷を受けないことが重要。致命傷とは、技術と人材を失うこと。そのために互助会のような仕組みが必要」(同氏)とする。
「どのような技術や人材が必要で、誰が困っているのかなど、我々が目利きする。その上で、自動車業界内で互いに助け合う。会社を閉めざるを得なくても、そこの人材を他社が受け入れるなど、業界全体で救済する」(同氏)。
具体的な金額規模については明らかにしなかったが、「1つの会社、業界団体でまかなえるような金額ではない」(同氏)と述べた。「トヨタ自動車で例えると、売上高30兆円の7割が購入部品。これが20%減少すると、トヨタで6兆円、部品メーカーで4兆円下がる。これがここ数カ月で起きた」(同氏)。
中国のエンジン乗用車から撤退

フランス・ルノー(Renault)が、中国でのエンジン乗用車の生産を中止する。2020年4月に中国市場の新戦略を発表。同社で中国事業を統括するフランソワ・プロボスト(Francois Provost)氏は「電気自動車(EV)と小型商用車の2つに集中する」と述べた。
併せて、ルノーと中国・東風汽車の合弁会社である東風雷諾汽車(DRAC)の株式を東風汽車に譲渡し、合弁を解消する。中国の乗用車市場からの撤退は、大手海外メーカーでは2018年のスズキに次ぐもの。スズキは中国・重慶長安汽車との合弁を解消した。成長が鈍化した世界の各市場とどう向き合うのか。各社は選択を迫られている。
ボルボ子会社、自動運転ソフトに特化

スウェーデン・ボルボ(Volvo Cars)は、自動運転機能を開発する子会社の同ゼニュイティー(Zenuity)を2つに分割する。1つは、自動運転ソフトウエアの開発に特化した企業となり、ボルボが所有。もう1つは、同ヴィオニア(Veoneer)に統合し、ADAS(先進運転支援システム)を商品化する。
ゼニュイティーの最高経営責任者(CEO)であるデニス・ノベリウス(Dennis Nobelius)氏は、「自動運転用ソフトウエアは世界で数個に集約されていく。その1つになるように開発を進める」と意気込む。まずは、ボルボの次世代プラットフォーム「SPA2」を使った車両に導入する計画だ。
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