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規制対策にEVは不要

 オバマ前政権が策定した2025年の基準である「Augural(示唆)」と比べ、2020~2026年をターゲットとした「Preferred Alternative」の値は大幅に緩和されることになる(図2)。目標達成にEVを必要としない他、エンジン車だけで達成可能となる。

図2 2026年に向けたCAFE展望
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図2 2026年に向けたCAFE展望
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図2 2026年に向けたCAFE展望
新提案は、2025年目標を大幅に緩和したものになっている。(a)乗用車、(b)ライトトラック。自動車メーカーの親会社の国別でまとめた。出所:IHS Markit

 オバマ政権下の規制ではほとんどの自動車メーカーがクリアするのは難しかったが、新提案では余裕ができた、とみなせる。

 新提案は、パブリックコメントの受付を2018年10月26日で締め切った。今後、いつ決定するのかは未定だ。「2019年かもしれないし、中間選挙の対策までひっぱるかもしれない」と波多野氏は見る。

 今回の新提案だけを見ると、米国での電動化戦略は足踏みするように思える。ただ、自動車メーカーが注視するべきは、2020年11月の次期大統領選挙だという(図3)。

図3 GHG/CAFE規制に想定される将来シナリオ
図3 GHG/CAFE規制に想定される将来シナリオ
2020年の大統領選挙で環境保護派が当選すると環境規制強化へと揺り戻しが起こる。出所:IHS Markit
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 トランプ政権の考えを継承する場合は大きく対応を変える必要はないが、オバマ政権の考えに近い環境保護派が大統領となった場合は大きな影響が出る。「厳格な規制が再びスタートする。自動車メーカーは前倒しで規制対応を進めてクレジットを蓄積しておく必要に迫られる」(同氏)。

 トランプ政権は、連邦の規制緩和だけでなく、カリフォルニア州の環境規制をも押さえ込もうとしている。カリフォルニア州と連邦政府との間の争いは決着がついていない。ただ、連邦政府が規制緩和してもカリフォルニア州の厳しい規制が残るとすれば、自動車メーカーにとってはダブルスタンダードとなり、恩恵は限られることにもなる。トランプ政権は、カリフォルニア州と争っており、勝てば全米で規制緩和、負けるとダブルスタンダードとなる。自動車メーカーにとっては、目が離せない状況だ。

 トランプ政権は、Preferred Alternativeにすることで、ユーザーは安全なクルマに買い替えできるようになり、致命的な自動車事故の死亡者が年間で最大1000人減少、新車保有コストが平均2340ドル軽減、米国経済に5000億ドルのコスト削減効果、が期待できるとする。