トヨタ自動車とダイハツ工業は2018年12月、アクセルペダルの踏み間違いなどによる誤発進を防ぐシステムの販売を開始した。既に販売した旧型車に超音波センサーなどを後付けで装着し、運転操作のミスによる事故を防ぐのが狙いだ。自動でブレーキはかけず、エンジンの出力を抑えて前進時と後退時の誤発進を防ぐ(図1)。
現在トヨタは、「インテリジェントクリアランスソナー」という誤発進抑制システムの新型車への搭載を増やしている。フロントとリアのバンパーに装着した合計8個の超音波センサーを使って、車両の前方と後方の障害物を検知する。衝突の危険があるとシステムが判断すると、エンジンの出力を抑制して急発進を防ぎ、障害物との距離が近づくと自動でブレーキをかける注)。
注)トヨタの誤発進抑制システムは、同社の予防安全システム「Toyota Safety Sense(TSS)」の標準機能ではなく、追加機能として搭載できる。
ダイハツは、「スマートアシスト」という予防安全システムの新型車への搭載を加速させている。同社の最新システム「スマートアシストIII」の誤発進抑制機能も、超音波センサーを用いて車両の前方と後方の障害物を検知し、エンジンの出力を抑制して急発進を防ぐ。
旧型車には新システムを搭載できない
ただ、トヨタとダイハツが既に販売した1世代以上前の旧型車については、これらの新型車用のシステムを後付けで搭載できない。そこで両社は最低限の予防安全対策として、今回のシステムを開発した。その背景には、誤発進による事故が増えていることがある。
トヨタは2015年12月まで販売していたハイブリッド車(HEV)の先代「プリウス」と、2018年4月まで販売していたHEV「アクア」を対象に、ダイハツは2013年10月まで販売していた軽自動車の先代「タント」を対象にして同システムを販売する。両社は今後、対象車種を増やす計画である。
今回の後付けシステムは、車両前後の障害物を検知する超音波センサーとエンジン出力を制御する装置、車内に取り付ける表示器などで構成する。車両の前後方の3m以内にある障害物を超音波センサーで検知し、運転者がアクセルペダルを強く踏んだときに、アクセルペダルの踏み間違いとシステムが判断して急発進を防ぐ仕組みである。超音波センサーはトヨタがデンソー製。ダイハツもデンソー製とみられる(図2)。