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HEV陣営拡大で影響力高める

 10倍以上に拡大する電動車市場を見据えてトヨタが選択したのが、今回の電動化システムの外販だ(図4)。例えば、HEVだけでなくEVやFCVにも広く使えるPCUは、2030年には「2000万~3000万個の供給が期待できる」(同氏)とした。

 トヨタ単独では、2030年に550万台の電動車両を販売する目標を掲げる。他社への部品供給を、自社の完成車で使う数の3倍以上の規模に育てるという野心的な計画だ。部品事業としての収益のほか、量産規模の拡大による部品コストの低減を狙う。HEVの仲間を増やす目的もある。HEVは現状、規制や補助金などの政策面で逆風が吹く。陣営を拡充できれば、影響力を高められる。

図4 トヨタのハイブリッドシステム
図4 トヨタのハイブリッドシステム
モーターや2次電池、PCUなどを他の自動車メーカーに供給するだけでなく、これらの部品を使った電動車両の製品化に向けた技術サポートも実施する。(出所:トヨタ)
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 トヨタは部品の外販と合わせて、電動化技術に関する特許実施権の無償提供を決めた。モーターやPCU、エンジン、トランスアクスル、システム制御など、トヨタが単独で保有する約2万3740件が対象である注3)

注3)期限は2030年末まで。電池に関する特許は、パナソニックと合弁会社を設立する関係から対象外とした。ただし、部品提供は可能という。

 トヨタは2015年1月にFCV関連の特許実施権の無償提供を始めたが、積極的に活用されている状況にはない。この教訓から、今回は特許開放から一歩踏み込んで、技術サポートを含む部品・システムの提供を決めた。寺師氏は会見で、「『どうぞ』と特許を開放されても、他社はなかなかその特許を使った開発や生産にリソースを割くことができない。トヨタはシステムサプライヤーとして、部品や技術をそのまま使ってもらう考えに変えた」と経緯を説明した。

 トヨタのHEV技術の肝は「できるだけ小さな電池で長い距離を走れるようにするシステム制御」(同氏)にある。電池やモーターといった単体部品ではなく、回生ブレーキやエンジンなども含めたシステム制御によって、燃費や静粛性などで他社と差異化してきた。

 虎の子の技術として守ってきたが、今後は「システムサプライヤーとして顧客(である他の自動車メーカー)に提供していく」(同氏)。トヨタが保有する電動システムの購入を条件に、有償で技術サポートを実施する注4)

注4)具体的には、電動システムの概要や制御の仕組み、車両に搭載する際のチューニングなど、詳細に説明するという。