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 商用車大手のいすゞ自動車と日野自動車は共同で、2台の車体を電車のようにつないだハイブリッド(HEV)バスを開発した(図1)。最大で120人近くを同時に運べ、輸送効率を一般的な路線バスの約1.5倍に高められる。国産初の連節バスが産声を上げた。

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図1 いすゞ自動車と日野自動車が共同開発した連節ハイブリッド(HEV)バス
(a)シャシーやボディーの開発はいすゞが、HEV機構を含むパワートレーンの開発は日野が担当した。(b)連節部分を折り曲げて旋回する。(撮影:日経 xTECH)

 想定するのは、都市部の駅間輸送や、地方都市での公共交通としての活用だ。次世代の移動サービス「MaaS(マース)」に組み込む車両として、バス会社をはじめとするモビリティー事業者に売り込む。

 2019年5月に両社が発売した。いすゞは「エルガデュオ」、日野は「ブルーリボン ハイブリッド 連節バス」という名称で販売する。価格は約8800万円(税抜き)で、通常の路線バスの3倍近い。両社が比率50:50で出資するバス製造会社、ジェイ・バスの栃木県宇都宮工場で、年間17台を生産する計画だ。

 車両の開発企画は、いすゞと日野の共同チームが手がけた。シャシーやボディーの開発はいすゞが、HEV機構を含むパワートレーンの開発は日野がそれぞれ担当している。企画が立ち上がったのは2015年前後で、本格的な開発は2017年ごろから始めた。

 連節バスを一から開発することは、日本の商用車メーカーとして初めての取り組み。そのため、「(連節バスとしての)技術的な評価基準を設定することに苦労した」(いすゞ自動車バス商品企画・設計部チーフエンジニアの鈴木隆史氏)。また、連節で車両質量が大きくなるため「HEV機構を効率化することの難易度が高かった」(日野自動車車両企画部チーフエンジニアの山口誠一氏)という。

 シャシーやボディー、パワートレーンに関しては、両社から発売している路線バスのいすゞ「エルガ」や日野「ブルーリボン」と多くを共通化した。開発費用を抑える効果がある他、車両を整備しやすくしたり、交換部品を確保しやすくしたりする利点がある。