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簡易HEVは発進時の加速支援を重視

 パワートレーンでは、ランドローバー車として初めて簡易HEVを設定した。新型車に搭載した簡易ハイブリッドシステムは、SUBARU(スバル)の同システム「e-BOXER」と同様に、燃費の改善よりも、発進時の加速支援を重視したのが特徴である。

 排気量2.0Lで直列4気筒の過給ガソリンエンジン「インジニウム」とBSG(ベルト駆動のスターター兼オルタネーター)、48Vのリチウムイオン電池パック、DC/DCコンバーターで構成する。BSGを装着するエンジンは横置きで、DC/DCコンバーターと電池パックは後席の床下に配置した(図3)。

図3 簡易ハイブリッドシステムの構造
図3 簡易ハイブリッドシステムの構造
ランドローバー車として初めて搭載した。電動化に対応する新プラットフォーム「PTA」を適用する。(出所:ジャガーランドローバー)
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 BSGのモーターとしての性能を見ると、最大出力は11kWで、最大トルクは140N・mである。スバルの中型SUV「フォレスター」に搭載するe-BOXERの場合、モーターの最大出力は10kW、最大トルクは65N・m。新型車に搭載するBSGの最大トルクは、フォレスターのモーターの2倍以上と大きい。

 発進後にエンジンの回転速度が1500rpmを超えると、モーターによる支援が始まる。回転速度が2000rpmを超えると、エンジンだけの駆動になる。スバルのe-BOXERは発進後の短時間、モーターだけで走る電気自動車(EV)走行ができるが、新型車のシステムはモーターだけでは走らない。「モーターを使うのは、発進後に過給が始まるまでの時間差(ターボラグ)を解消するのが狙い」(ジャガー・ランドローバー・ジャパン)という。

 減速時には、BSGが発電機として働く。減速エネルギーを回生して、リチウムイオン電池パックに蓄える。加速時には電池パックに蓄えた電力でモーターを動かす。電池パックの容量は0.2kWhと少なく、エンジン駆動を連続で支援できる時間は数秒程度である。

 車速が17km/h以下になるとエンジンが止まり、燃料の消費を抑える。こうした対策(エネルギー回生やエンジン停止など)によって、先代車に比べて燃費は6%改善し、二酸化炭素(CO2)排出量は8g/km減らせる。