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 ホンダは2019年8月、背高ワゴンタイプの軽自動車「N-WGN」を約6年ぶりに全面改良して発売した(図1)。同社の安全運転支援システム「Honda SENSING」を全車に標準搭載して予防安全性能を高めた。同システムの主要機能である自動ブレーキは、街灯のない環境下でも夜間の歩行者を検知する。ボディー骨格への高張力鋼板の使用量を増やして、衝突安全にも対応させた。刷新したエンジンは実用燃費と動力性能で、日産自動車やスズキなどの競合車を上回る。

 
図1 新型「N-WGN」
図1 新型「N-WGN」
6年ぶりに全面改良した。予防安全性能を高めたのが最大の特徴だ。(撮影:日経Automotive)
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 新型車の最大の特徴は、自動ブレーキの夜間性能を高めたことである。日本の自動車アセスメント(JNCAP)評価を手掛ける国土交通省と自動車事故対策機構(NASVA)は、自動ブレーキの新たな評価項目として2019年度に、街灯がない環境下における夜間歩行者を対象にした性能試験を導入した注1)

注1)国交省とNASVAが2019 年度に導入した最新の試験方法では、街灯のない直線道路において自動ブレーキの夜間歩行者の検知性能を評価する。対向車を模擬した停止車両(ヘッドランプをロービームで照射)がある場合とない場合の2 つの条件において、対向車線側から飛び出すダミー人形との衝突を回避できるかどうかを調べる。

 ホンダは今回の新型車に搭載した自動ブレーキについて、「2019年度のJNCAPの最新基準に対応できる」とする。同基準への対応を公表するのは、他社を含めて今回の新型車が初めてである。ホンダの自動ブレーキは、夜間歩行者を検知する性能で他社のシステムに先行した。

カメラと自動ハイビームを連携

 新型車に搭載した自動ブレーキは主に、フロントウインドー上部の室内側に装着する単眼カメラを使って夜間の歩行者を検知する。単眼カメラはドイツ・ボッシュ(Bosch)製である(図2)。

図2 ボッシュ製の単眼カメラ
図2 ボッシュ製の単眼カメラ
自動ハイビーム機能を備えるヘッドランプと連携させて、街灯がない環境下における夜間歩行者の検知を可能にした。(撮影:日経Automotive)
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 同社の単眼カメラを使う自動ブレーキは、街灯がある環境下におけるJNCAPの試験で好成績を収めた(2019年5月号「攻める自動ブレーキ」参照)。新型車では、このカメラと自動ハイビーム機能を装備するヘッドランプを連携させて、街灯がない環境下での夜間歩行者の検知を可能にした。

 新型車に搭載したボッシュのカメラは既に、ホンダの背高ワゴンタイプの商用軽自動車「N-VAN」や中型セダン「インサイト」などの自動ブレーキ用センサーとしても使われている。新型車ではこれらの車両と同じカメラを使い、自動ハイビーム機能を備えるヘッドランプと連携させて、街灯のない環境下における夜間歩行者の検知を可能にした。「カメラのハードウエアとソフトウエアは変更していない」(ホンダ)という。